公式キュレーター泉二啓太さんの最新情報 vol.6

2016.02.04

≪公式キュレーター泉二啓太さんの最新情報です≫

先日、千葉県君津市にある松原伸生さんの工房にお邪魔しました。
松原さんは「長板中形」の藍染作家として、
日本工芸会正会員に認定されるなど、若くしてご活躍されています。

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祖父は長板中形の人間国宝、松原定吉さん。
父・松原利男さんも「松原四兄弟」のひとりとして長板中形を継承し、
その技法は息子である伸生さんへと受け継がれています。

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「長板中形」とは、江戸時代より続く型染技法のひとつ。
木綿生地に中形の柄を藍で染め、主に「浴衣」として作られてきたものです。
「長い板をつかって、中くらいの型をつける」というだけでなく、
生地の表裏、両側から柄をつけることが特徴です。

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約6.5メートル(半反分)の長いモミの一枚板の上に生地を張り付けて、端から順に渋紙の型紙を置いて、糊置きをします。
そして、天日干し後、裏面にも同じ型紙を置き、表の柄位置にぴったりと合わせながら糊置きしていきます。
その後、藍の染まりを良くするため、生地に豆汁(ごじる)を引いて、
藍甕の中に浸染をします。

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「長板中形」は両面に糊を置くことで、その部分は藍に染まらずくっきりと白く残るのが特徴で、この藍と白のコントラストの美しさが最大の魅力です。
(片面だけ糊置きした場合は、白場がうっすらと藍に染まってしまうため、長板中形ほどのコントラストは出ません。)

そして、「長板中形」作品にはなくてはならない「伊勢型紙」。
今回、拝見したものの一枚には、精緻に彫りだされた鶴が今にも舞踊るかのような、躍動感のある素晴らしい型紙もありました。

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もともと、東京都生まれの松原さんは19歳の頃、
作品づくりに適した環境を求めて、お父様と君津に移り住みます。
綺麗な水、広い作業スペース、陽当たりの良さなど、
自分のものづくりにはこの君津が最適の場所だったと言います。
そして今も、豊かな自然と陽光降り注ぐ人里離れた工房で一人静かに、
着る方の事を想い描きながら、一枚一枚丁寧につくり上げています。

そうして手間暇かけ、丹精込めて作られた長板中形が夏前に染め上がる予定。
今から待ち遠しいです!

 

 

≪プロフィール≫

泉二啓太 もとじ・けいた

銀座もとじ 店主 泉二弘明の長男。

高校卒業後、ロンドンの大学でファッションを学び、帰国。

2009年、「銀座もとじ」に入社、現在は、和織・和染の店長として接客を行っております。

銀座もとじ 二代目として、きもの文化を若い層にも広げようと、

海外で学んだ経験を活かし商品開発なども手掛けております。

 

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