公式キュレーター泉二啓太さんの最新情報 vol.7

2016.02.16

≪公式キュレーター泉二啓太さんの最新情報です≫

福岡県南西部の筑後川下流に位置する久留米市田主丸町。耳納(みのう)連山の麓に久留米絣の工房を訪れました。 久留米市田主丸にある「藍生庵」、久留米絣を織っていらっしゃる松枝哲哉、小夜子さんご夫妻の工房です。

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久留米絣は、木綿の織物で約200年前に生まれました。昭和の初期にはなんと年間約220万反もつくられていたとのこと、1957年に絣の技術が国の重要無形文化財に指定されました。

それが現在では約3万反、そのうち重要無形文化財の1年間の制作反数は、50反ほどです。

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久留米絣の重要無形文化財には、下記のような3つの指定要件があります。

1.手くびり(手括り)による絣糸を使うこと
2.純正天然藍で糸を染めること
3.緯糸(よこいと)を巻いた管を杼と呼ばれる道具納めて、手機(てばた)で織ること

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松枝家5代目にあたる哲哉さん、祖父は人間国宝だった松枝玉記さん。
より良い水を求めてこの土地に工房を構えたのが、1990年。
久留米絣にかかせない藍を美しい発色で出せる綺麗な水が流れている土地とあって、藍の色に透明感があり本当に魅力的です。

藍の管理は毎日、我が子のように手を掛けて育てているからこそ、藍がそれに応えて良い色を返してくれるとのこと。祖父の玉記さんからは「藍は生きとるぞ」と教えてこられたそうです。今はお二人も「藍は人が一生をかけるにふさわしいもの」と仰っていたのが印象的でした。

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工房には藍甕が12個もあり、冬でも一番藍の染まりが良いといわれている温度20度以上に保つために、甕同士の間には小さな火床(ひどこ)という穴が空いていて、そこにハゼ蝋糟(かす)を焚いて温度管理をしています。

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木綿の糸束を麻やビニールテープで括り、藍染をし、その括ったところを解くと一本の糸が藍と白の染め分けられた絣糸にかわり、その経の白と緯の白をあわせて緻密な柄を織りなしていきます。
ご主人の哲哉さんは、絶え間なく沢音が聞こえる工房の周りの自然の中で、宇宙、星空を織りに表現して、ロマンを感じる作品を作られます。
小夜子さんは、ご主人とはまた違った幾何学模様を力強くリズミカルにこの久留米絣で表現しています。

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かつて、労働着や普段着といわれていた久留米絣を、祖父の松枝玉記さんは技術を守りながら芸術の域まで高め、人間国宝となられました。玉記さんの築き上げてきた久留米絣の世界を、お二人もそれぞれの感性で豊かに受け継ぎ、創造性あふれる素晴らしい作品を生み出しつづけていらっしゃいます。

 

 

≪プロフィール≫

泉二啓太 もとじ・けいた

銀座もとじ 店主 泉二弘明の長男。

高校卒業後、ロンドンの大学でファッションを学び、帰国。

2009年、「銀座もとじ」に入社、現在は、和織・和染の店長として接客を行っております。

銀座もとじ 二代目として、きもの文化を若い層にも広げようと、海外で学んだ経験を活かし商品開発なども手掛けております。

 

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