公式キュレーター泉二啓太さんの最新情報 vol.12

2016.05.17

≪公式キュレーター泉二啓太さんの最新情報です≫

新潟県の小千谷市に「小千谷縮(おぢやちぢみ)」という極上の麻織物があります。

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昭和30年に日本ではじめて国の重要無形文化財に指定され、平成21年にはユネスコの無形文化遺産にも指定されています。

未来へつないでいかなければならない伝統文化でありながら、現在の年間生産数はわずか3、4反。

小千谷縮の生産数が少ない理由の一つとして、糸づくりの難しさがあります。

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高品質の苧麻(麻)を福島県・昭和村で栽培し、小千谷に運んで手績みして糸をつくるのですが、一本一本の糸を全て手作業で作る(績む)ので、分業しても糸作りだけで1年以上もかかってしまいます。

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苧麻は乾燥が大敵のため、どの作業中も湿度には気を配り、暑い日でもエアコンを止めたり、場合によっては加湿器を使うこともあります。

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織り機は「地機(じばた)」という古くからある手織機で、床に近いところに座り、自分も織り機の一部となって織り上げていきます。

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織りあがった後は湯もみをして小千谷縮ならではのシボを出し、作品によっては反物を雪の上に広げて晒し、雪の作用でより白く漂白していきます。

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「雪中に糸となし、雪中に織り、雪水に洒ぎ、雪上に晒す。雪ありて縮あり、されば越後縮は雪と人と気力相半ばして、名産の名あり、魚沼群の雪は縮の親というべし」

鈴木牧之『北越雪譜』より

 

まさに雪国であるからこその、雪の持つ自然の力を最大限に活かして作る極上の織物。

江戸時代に20万反あった生産反数は今は激減して、機屋も3軒のみとなりました。

そんな中でもこの織物を後世に残して、良いものを作り続けようという方々がいらっしゃいます。

そしてこの小千谷縮を作ってみたい!という若い世代も県内、県外から移住して増えてきているようです。

そのおかげで、この数年で年間生産反数は「2、3反」から「3、4」反へと微増しました。

数字としてはまだ小さいですが、これは大きな大きな変化です。

伝統は常にアップデートしていかないと廃れていってしまう。

機屋さんも織子さんなどと意見交換をして、新しい作品をつくっていこうと頑張っています。

産地としてできること、機屋としての新しいあり方を模索して挑戦を続ける方々に、刺激を受け勇気をもらった、嬉しい1日になりました。

 

 ≪プロフィール≫

泉二啓太 もとじ・けいた

銀座もとじ 店主 泉二弘明の長男。

高校卒業後、ロンドンの大学でファッションを学び、帰国。

2009年、「銀座もとじ」に入社、現在は、和織・和染の店長として接客を行っております。

銀座もとじ 二代目として、きもの文化を若い層にも広げようと、海外で学んだ経験を活かし商品開発なども手掛けております。

 

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