日本古来の金工の技術を用いた「花鏨(はなたがね)」の工芸美

2016.03.13

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装飾工芸作家がデザインから制作まで一人で形作る

鏨(たがね)とは鋼鉄でできた金属加工用の道具です。この「鏨」を屋号に入れた「花鏨(はなたがね)」は、彫金家有馬武男さんが佐賀県唐津市に設立した装飾工芸のアトリエです。

築190年の造り酒屋を営んでいた生家の古民家を工房として使う有馬さんは、大学の建築学科を中退後イギリスに渡り絵画を勉強したそうです。その後、銀座の宝飾店でジュエリーデザイナーとして活躍し、33歳で故郷に戻りアトリエを構えました。

有馬さんは、金工で創り出す装飾品のデザインから制作まで一貫してご自分で携わります。

現代の工芸品は、デザイナーと職人とで分業化されていることが多くあります。それでも、有馬さんは自分でデザインしたものを自分の手で作品に形作りたいという強い希望を持っていました。

そのため、仕事のかたわら、金工の技法を習得する夜間の学習を続けていったのです。デザインにも技術にも妥協を見せないために、自分の持ちうる技量をすべて作品にぶつけようと努力する姿は、自分の納得する仕事を行うという決意を秘めているように感じます。

 

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