侘び寂びを手のひらに。「和草」の苔玉に見る日本の美

2016.06.11

 

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小さきもの、限られた空間に美を見いだす日本の文化

日本には、精緻につくられた限定空間の中に美を見いだす文化があります。例えば禅の文化から生まれた石庭は、石と砂で構成された庭から自然、無限の空間、悠久の時間を感じさせるようにできていますし、盆栽は一木の美しい枝ぶりによって、まるで自然を鉢の中に封じ込めたような感覚を与えるようにできています。

埼玉県さいたま市盆栽町の老舗「清香園」(創業嘉永年間)の5代目店主・山田寅幸さんにお話を伺ったことがありますが、「盆栽を見る際には下から仰ぎ見るようにする」のだそうです。これは「盆栽から大木感を感じるため」とのこと。盆栽はその背景にある自然を感じるように鑑賞するものなのです。盆栽は世界でも有名な園芸アートですが、庭がないと盆栽を本格的に楽しむのは難しいですね。近年、盆栽には手が出せないが……という人の間で「苔玉(こけだま)」が人気になっています。

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四季折々の風情を感じさせる苔玉

埼玉県の「みどり屋 和草(にこぐさ)」では、美しい苔玉を制作しています。苔玉は、小さな木の根を土でくるみ、その周囲に苔を活着させたものです。土を丸く固めて苔を貼り付けると、苔の玉のように見えることからその名があります。

紅長寿梅、白長寿梅、ハウチワカエデ、風知草(フウチソウ)、ヘンリーヅタ、シノブ、山モミジといった低木が苔玉からすくっと立つさまには独特の愛らしさがあります。紅長寿梅・白長寿梅ではそれぞれ紅白の花をつけ、またカエデでは紅葉が楽しめるなど、四季折々の風情を感じさせてくれるのです。

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↑青枝垂れもみじの苔玉。秋から冬にかけ一番の見ごろとなります。
価格:6048円(税込)

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