現代のフォルムを叶えた、伝統の鋳鉄の技「kabutoⅡ」

2016.06.29

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世界的なデザイナーと日本の伝統工芸のコラボレーション

「kabutoⅡ」という名の鋳鉄製ティーポット。日本の伝統工芸に新しい息吹を吹き込んだのは、「ザ・ペニンシュラ東京」の空間デザインを手がけたことでも知られる世界的なデザイナー、橋本夕紀夫さんです。

前身である「kabuto」は、ヨーロッパ最大級のインテリア&デザイン見本市、メゾン・エ・オブジェで発表されました。実は当時橋本さんは、伝統的な鉄瓶などには男性的なデザインが多いことから、女性的なものを作ろうと“クルミ”をモチーフにデザインしたそう。伝統工芸としても斬新な形でしたが、海外では日本のイメージとも相まって「兜(かぶと)のように美しい」と称賛されることに。そこからこの名前が付いたというわけです。

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山形鋳物から富山県の高岡鋳物に受け継がれた「kabutoⅡ」

「kabuto」は山形県で400年の歴史を持つ山形鋳物の技で形になりました。上下それぞれの砂型を作って合体させる生型と呼ばれる製造法ですが、このポットではその型が水平に作れません。一番出っ張った斜めのラインで型を分けることになります。これまでにない形を作るには、伝統の技とともにそうした挑戦も必要でした。

「kabutoⅡ」では、富山県に伝わる高岡鋳物がその役を担うことに。今度はロストワックスという製造法で、ロウで作った原型を鋳砂で覆い固めた後、ロウを溶かし出した空洞に鉄を流し込み、形にします。型は1つで済みますが、その分仕上げには何倍も手間がかかるとのだとか。職人技が光ります。

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