今の空気を纏う喜び。自然から生まれた播州織「hatsutoki」

2016.07.29

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春夏秋冬、刻々と姿を変える山々もインスピレーションの源に

兵庫県に伝わる播州織の里で、「hatsutoki」がお手本にしているのは周りの「自然」です。たとえば遠くに眺める山々。初夏には新芽をふいて黄緑色に染まり、緑が深くなっていったかと思えば、だんだんとくすんで紅葉していく――。そんな移ろう季節の表情や空気、五感すべてに感じられる自然の姿が、デザインのインスピレーションになっているのです。

200年以上の歴史を持つ播州織が得意とするのは「先染め」。一本一本染められた経糸と緯糸が交わって新たな色を生み出し、糸の重なりによって深みが生まれる織物です。どんな糸を使い、どう織り上げていくかで繊細に変わる表情は、自然の姿にも通じています。

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糸の選別から行ない、ごく細い糸で織り上げられた生地

hatsutoki」は、島田製織株式会社が立ち上げたブランドです。綿織物の国内有数の産地でもある兵庫県西脇市で創業80年を迎える製織企業が、これまで培ってきた伝統のものづくりを活かしながら、播州織の新たな表現を形にしたのです。

これまで播州織というと、チェックやストライプのワイシャツの生地として使われることが多い織物でした。糸の太さを表す番手としては40番や50番。一方で、「hatsutoki」でメインに使われているのは100番、およそ半分の細さの糸です。細い分、生地の手触りもなめらかになりますが、織るにはそれだけ神経を使います。今の感覚に合わせて色や柄の組み合わせも一新。そこには大きなチャレンジがありました。

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