カルチャー

石川康晴氏が語る「現代アート×ビジネス」が導く未来-Vol.3

2016.11.10

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グループ売上高1千億円以上を誇るアパレル企業「ストライプインターナショナル」の代表取締役社長にして、日本屈指の現代アートコレクターでもある石川康晴氏。彼は何故、自ら財団を設立し、地元・岡山で現代アートの大型国際展を開催するなど、アートに並々ならぬ情熱を注ぐのでしょうか。
Vol.2に続いて、NewsPicksとアマナによるコラボレーションイベント「アートと創造性、アートと経営:石川康晴社長に聞く」で語られた言葉と展望についてレポートします。

作品は売らない——パトロン石川の誕生秘話

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石川氏自らが総合プロデューサーとなり、世界の第一線で活躍する実力派アーティストたちと岡山の文化的資産を掛け合わせることで、次世代に新たな価値を紡いでいく試み——「岡山芸術交流 2016」。
前回に引き続き、「NewsPicks」編集長の佐々木紀彦氏と、株式会社アマナによるアート写真メディア「IMA」エディトリアル・ディレクターの太田睦子氏をモデレーターに、石川氏が考える「現代アート×ビジネス」の可能性を掘り下げていきます。

太田睦子:それにしても、アートを“見る”のと“買う”のとでは、その間に大きな溝があるように思います。石川さんはどんなきっかけで、アートを買うようになったのでしょうか。

石川康晴:正直、最初は自分が作品を買うなんて考えたこともなかったですね。23、4歳でロンドンのテートモダンやパリのポンピドゥーセンターを見に行くようになった頃は、「内容はよくわからないけれど、見に行くこと自体がイケている」という程度の感覚でした。そこから美術館に通ううちに少しずつ面白くなってきて……最初に買ったのはオン・カワラ(河原温)さんの作品でした。それはもう、本当に勇気が要りましたね。でも、起業して得たお金も、死んだら相当額が国に持っていかれてしまう。であれば、同じ時代を生きている文化人にどんどんドネーションをして、彼らがステージアップしていくのを楽しむ道を選ぼうと思ったのです。今は10年後に石川ミュージアムを建てる計画で、大型作品を集めているところです。

太田:河原温さんは日本を代表するアーティスト。作品は億単位ですね。でも、投機目的で購入したわけではないと。

石川:確かに、買った当時よりは値上がりしているでしょう。でも、僕が設立した石川文化振興財団は、作品を売らずに所蔵し続けることをコンセプトにしています。それがパトロンの一番の役割だと思っているので。

佐々木紀彦:「アート作品を買う際、作品はこう見る」というような、何か心得のようなものはありますか。

石川:コレクターによってまちまちですが、僕は作品よりも、アーティストの人柄を見て買っています。何故かというと、彼らが最先端のものを作る時は、余りに発想が斬新過ぎて理解者がほとんどいない状態です。僕も同じくほとんど理解できていなくても、考え方が素晴らしいと感じたアーティストの作品を目をつぶって買う。そのアーティストが、ある時に美術館で展示されたり、世界的な賞を取ったりすると、親心のような感じで、やっぱりすごく嬉しいですね。佐々木さんもぜひ、NewsPicksが上場されたこのタイミングで、何かアート作品を買ってみてください(笑)。

 

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