日本の美しい着物を世界へ— 中駒織物が挑む、着物の新たなる世界

2017.01.02

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ご主人と2人で目指した、クールジャパンへの道

いま、世界で高い評価を受けている日本の文化。日本食やアニメーション、緻密なものづくりの技術まで、クールジャパンの名称も生まれるほど、その人気は誰もが認めるものに。

なかでも、ものづくりにおけるハンドメイド技術のレベルの高さは世界でも類を見ません。その極みともいえるのが、刺繍や箔、織りなど職人技巧の粋を集めて作る着物文化。しかし、国内の生活環境の洋式化とともに需要は激減。作り手は仕事の機会を失い、呉服屋とともに苦境に立たされています。一方、海外に着物ブームが訪れているというニュースも。

そんな中、マレーシアで外国人に向けた高級着物の販売・レンタルを展開し、大きな反響を呼んでいる呉服店があります。2015年にクアラルンプールにできた「Mitsui Outlet Park KLIA Sepang」(JAPAN AVENUE内)に販売拠点を展開する、中駒織物です。女手ひとつで海外へ進出し、挑戦を続ける中島社長にお話を伺いました。

写真(上)/ 今年オープンした「ISETAN The Japan Store Kuala Lumpur」のレセプションでの様子。中駒織物が提供した振袖を身にまとったスタッフたちで、会場は一気に華やかに!(写真提供:南国新聞)

(2)rd1700_IMGP7244写真(上)/ 中駒織物の無数のコレクションを見せてくれた中島社長

「日本人は自分でモノや文化に価値を見出すことが苦手。江戸時代、紙くず同然で海外へ渡り、ヨーロッパにその美しさと価値を見出され、国内で再び美術品としての地位を獲得した浮世絵のように、着物にも海外での評価が必要だと思ったんです」 

織元だった実家に保管されていた大量の着物が破棄されると聞き、それらを引き取ることを決めた中島さんとご主人。2人は着物の美しさを多くの人と共有したいという想いから、2014年に会社を創業し、クールジャパンのマッチンググランプリへ申請します。ところがその2週間後、ご主人が急逝。専業主婦で知識のなかった中島さんは、ご主人への想いも込めて、たった一人で大会への出場を決意します。

「引き取った着物は、目利きの才能があった義理の母が呉服店のために大量に買い卸したもので、ほとんどが希少価値の高いものばかりでした。彼女の目は鋭く、問屋で母が着物を選ぶと、価値を悟られて値段を上げられてしまったほど。長く保管されていたため、日本では売っても2束3文にしかなりませんが、物自体の美しさは不変。捨てるなんて見ていられなかったんです。シルクを覆い尽くすほどの刺繍を施した夏用の打掛けや、箔貼りが施された振袖など、技術が失われて、いまでは作ることができなくなった非常に稀少な着物がたくさんあります」

 

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