「春日大社 千年の至宝」空前絶後の古神宝が上野に集結

2017.01.26

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「平安の正倉院」と称される、春日大社の至宝が一堂に会す

上野・東京国立博物館 平成館では、現在特別展「春日大社 千年の至宝」が開催されている。

ユネスコの世界遺産に「古都奈良の文化財」の1つとして登録されている春日大社では、昨年11月「式年造替(しきねんぞうたい)」が行われた。「式年造替」とは、およそ20年に一度、社殿の建て替えや修繕が行われることで、記念すべき60回目となる節目にちなみ、通常社外ではめったに拝観することのできない貴重な古神宝が上野へ集結。今回の特別展が開催されることとなった。

期間中展示される出展数は250点。そのうち100点以上は国宝、または重要文化財に指定されている。

奈良という場所柄もあり、戦乱に巻き込まれることなく守られてきた至宝は「平安の正倉院」と呼ばれ、平安貴族の美意識を反映した国宝の古神宝、平和への祈りや願いを込めて奉納された甲冑や刀剣、そして神々しくも愛らしい鹿や神々の姿を表現した絵画・造形など、まさに空前絶後の作品が一堂に会している。

展示室は「神鹿(しんろく)の杜」「平安の正倉院」「春日信仰をめぐる美的世界」「奉納された武具」「神々に捧げる芸能」「春日大社の式年造替」の計6章から構成され、それぞれのテーマに沿った作品が展示されている。

そして、理解を深めるには欠かせない音声ガイドのナレーターは歌舞伎役者の市川猿之助さん。春日大社に守り継がれる宝物に秘められたストーリーをわかりやすく解説してくれる。さらにスペシャルゲストとして、歌手のさだまさしさんや春日大社花山院宮司の出演もあり。春日大社を愛する豪華な出演者が揃った音声ガイドもぜひ利用してみては。

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「春日神鹿御正体(かすがしんろくみしょうたい)」
南北朝時代・14世紀
京都・細見美術館【通期展示】重要文化財

第1章「神鹿の杜」でまず目をひくのは、「春日神鹿御正体(かすがしんろくみしょうたい)」という像や、「鹿島立神影図(かしまだちしんえいず)」という作品だ。

日本書紀に登場する神・武甕槌命(たけみかづちのみこと)が鹿に乗り、常陸国鹿島から春日の地へ降臨したことが春日大社の由来とされる。その乗り物である鹿は神の遣いである「神鹿」として扱われ、多くの作品で表されている。

なお展示物で鹿が描かれているものには、作品説明に鹿のアイコンが表示されている。作品によっては目を凝らす必要があり、探しながら鑑賞することも楽しみの一つだ。

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「御間塀(おあいべい)のうち唐鞍神馬図(からくらしんめず)」とともに展示される実物大の春日大社本殿第二殿(再現)

第2章「平安の正倉院」では貴族文化の栄華を現代に伝える、雅やかな作品が展示されている。

中でもじっくりと鑑賞すべきは、本展の目玉の一つともいえる国宝「金地螺鈿毛抜形太刀(きんじらでんけぬきがたたち)」。柄や鍔は金無垢に彫り出された文様で装飾され、金粉の蒔枯れた鞘には、雀を追う竹林の猫が螺鈿(らでん)で表現されている。国宝であることに疑いのない、まばゆく輝く黄金の太刀である。

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国宝「金地螺鈿毛抜形太刀(きんじらでんけぬきがたたち)」
平安時代・12世紀
春日大社【~2/19展示】国宝

ほかにも弓や鏡、鏡台など、繊細な美意識を感じられる作品が数多く展示されている。

 

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