芥川賞作家 田中慎弥さんが語る、作家のホンネ 書籍「文学とワイン」刊行記念イベント

2017.02.09

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2016年12月に、青幻舎より発売された書籍「文学とワイン」

銀座のワインショップ「エノテカ・ミレ」に毎回一人の作家を迎えて、ワインとともにトークを楽しむ知る人ぞ知るイベント「文学ワイン会 本の音 夜話(ほんのねやわ)」。

角田光代さんや堀江敏幸さん、平野啓一郎さんなど、名だたる作家の方々10名をお呼びして行われたそのトークイベント(計10回)の様子をまとめた書籍『ワインと文学』が、出版されました。本の著者である山内 宏泰さんと作家たちがワインを飲みながら語った本音トークは人気の作家が分かる貴重な内容となっています。

その出版を記念して2回に渡って行われたイベントに、芥川賞作家の田中慎弥さんと平野啓一郎さんが登場。小説を書くことへの思いや創作についての考えなど興味深いお話が美味しいワインとともに語られました。まずは記念イベント第1回目、田中慎弥さんのトークをご紹介します。

rd1700_(2)DSCN0685写真(上)/ 川端康成の「化粧」を朗読する田中慎弥さん

書くことそのものが田中慎弥さんの生きる糧

20歳の時からじつに20年もの間、作品を書き続け、2012年に芥川賞作家となった田中慎弥さん。イベントでは、書く事に人生を捧げてきた田中さんの思いを垣間見ることができました。

「作家が作品を書く動機の一つに、自らの強烈な体験から得たことを伝えるために書くという場合があります。たとえば中上健次のように、絶対的に逃げられないものを抱えて書くとか。これはこれで面白いです。でも、私の場合は伝えたいことがあって書いているわけではない。むしろ、書くという行為が一番上にあって、その中でなにが出てくるのか、ということをやっています。書くことは仕事であり、私の生きる糧なんです」

芥川賞受賞作の『共喰い』をはじめ、“父親と息子”や“地方の親子関係”といったテーマを扱う作品が多い田中さん。小説にできるようなテーマを探して、自分の親子関係を思い出しながら書いたといいます。

「最近は、親子関係のテーマも書き尽くしてきて、新しい世界を書く段階に入ったと感じています。よく、書くことがあるうちはダメ、書けなくなってからがスタートだなんて言ったりしますからね。自分もようやくスタート地点に立ったのかもしれません」

 

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