プレミアムジャパン・アートプロジェクト<建築家シリーズ> Vol.24

建築と社会の幸福な連帯を目指す建築家、大西麻貴+百田有希(後編)

2017.03.30

_MG_2456-min「プレミアムジャパン・アートプロジェクト」の若手建築家の連載インタビュー。大西麻貴+百田有希の後半では、新作の『Good Job! センター香芝』を中心に、彼らの建築観について語ってもらった。

誰もが居場所を見つけられる場所づくりのために

大西麻貴と百田有希よる最も新しい作品は、奈良県の香芝市にできた『Good Job! センター香芝』。これは障害者の社会参加に主眼を置いた就労施設だ。運営しているのは奈良に拠点を置く一般財団法人のたんぽぽの家で、社会的包摂をテーマに障害者の社会参加をアートを通じて実現する事業を展開している。

この施設が提供しているのは、単なる就労の場ではない。障害者の個性豊かなアートとそれを活かしたいと考えるデザイナーや企業をつなぎ、魅力的なプロダクトの開発・製造、さらには新しい働き方の提案も行う。

_MG_2657-min「このプロジェクトをやることで、自分たちの価値観が変わりました。最初は建築を通じて障害のある人のための手助けが求められていると思っていました。しかし実際の彼らは自由に表現をしているのだとわかりました。自分たちに求められているのは、障害の有る無しに関わらず、みんなが居場所を見つけられる場所づくりだと気付きました」

百田は『Good Job! センター香芝』についてこう語り始めた。この施設は少し離れて建つふたつの建物から成りたっている。ひとつは障害のある人の日中の活動を支援するデイサービスの場である「Good Job! Center KASHIBA/STUDIO」、もうひとつはワークスペースに情報発信などのパブリックな機能を兼ね備えた「Good Job! Center KASHIBA」だ。

(3)20170330-min(4)20170330-min写真(上)/ Good Job! センター香芝 Good Job! Center KASHIBA  2016 Photos by Yoshiro Masuda
(上)「Good Job! Center KASHIBA/STUDIO」の外観。日中は障害者が落ち着いて過ごせる家の延長のような居場所として利用される。(下)「「Good Job! Center KASHIBA」の内部。間仕切りは最小限に抑えられ、ふたつのアトリエがゆるやかに繋がる。皆で囲むテーブルや数人用の小テーブルなど、いろいろな居場所が用意されている。

ふたつの建物の役割の違いは、空間の違いにも現れている。「Good Job! Center KASHIBA/STUDIO」は主に決まったメンバーが通うことが想定されているので、自宅にいるときと同じような、ややクローズされた落ち着いた室内環境が用意されている。それに対して「Good Job! Center KASHIBA」は、異なる個性を持った空間をゆるやかに繋げることで、利用者がそのときのコンディションや気分に合った働きの場を見つけられるようになっている。

 

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