光琳が敬愛し、ドラッカーも認めた戦国時代の謎多き画僧「雪村」とは?

2017.04.12

(1)20170410写真(上)/ 雪村筆《龍虎図屏風》6曲1双 各155.6×350.4cm 東京・根津美術館蔵【展示期間:4月25日〜5月7日】

若冲や国芳にも通じる〝奇想の画家〟の原点。雪村の魅力満載の大回顧展

水墨画の大家というと、「雪舟」が有名ですが、もうひとり、よく似た名前の「雪村(せっそん)」という画家が存在すること、ご存知ですか?

戦国時代に活躍した謎多き画僧「雪村」に、今、注目が集まっています。どんな画家で、どんな作品を残したのか。彼の何が今なお人々を惹きつけるのか。そんな疑問に全て答えてくれるのが、現在、東京藝術大学大学美術館で開催されている大回顧展 特別展「雪村—奇想の誕生—」です。

「奇想の誕生」と題されていることからもわかるように、画家・雪村の魅力は、なんといってもその独創性。近年、伊藤若冲や歌川国芳など、常識を打ち破るような作品を残した日本の画家たちが、〝ワン・アンド・オンリー〟なアーティストとして国内外から高い評価を得ていますが、雪村はそんな〝奇想(思いもよらない奇抜な考え)の画家〟たちの原点ともいえる存在として認識されつつあります。

例えば、代表作のひとつ「呂洞寳図」。呂洞寳(りょどうひん)は中国では有名な仙人。不自然なくらいに首を曲げ、天空の龍と対峙する仙人のポーズや、風にたなびく衣のダイナミックな描き方は、雪村ならでは。龍と仙人の間で、これから一体何が始まるのか。想像力を掻き立てられるような作品です。

「実はどういうストーリーを描いているのかは、わかっていないんです。でも、龍と向かい合う呂洞寳を描いたのは雪村が初めてですし、ここまで演出されているのも他に例をみない。ただならぬ描き方なんですよね」(東京藝術大学大学美術館/古田亮准教授)

こうした雪村の作品は、後世の絵師にも大きな影響を与えています。尾形光琳が雪村を深く敬愛したことがよく知られているほか、狩野派の絵師たちも雪村を数多く模写しています。美術作品としては、日本国内だけでなく海外、特にアメリカでの評価が高く、アメリカでは雪舟よりむしろ雪村のほうが有名なのだとか。著名な経営学者で日本古美術コレクターでもあるドラッカー氏も、雪村のファンで、作品を所有しているそうです。


(2)20170410
写真(上)/ 雪村筆《呂洞寳図》重要文化財 1幅 119.2×59.6cm 奈良・大和文華館蔵 【展示期間:3月28日〜4月23日】

(3)20170410
写真(上)/ 雪村筆《風濤図》重要文化財 1幅 22.1×31.4cm 京都・野村美術館蔵【展示期間:4月25日〜5月21日】

 

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