日本語の美しさに触れて憂鬱な気分も変わる。 情感豊かな雨の呼び方

2017.04.16

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季節の変わり目は天候が崩れやすく、雨が降る日が増えますよね。あと2カ月もすれば梅雨に入り、ますます雨の日が増えて憂鬱になってしまうことも。そんな時は、日本で昔から使われている雨の呼び方を思い出してみましょう。美しい言葉を思い浮かべれば、見慣れた雨の風景にいつもとは違った情緒を感じられるかもしれませんよ。

上記イメージの画像出典:Norio Nomura / 雨上がりの桜 (from Flickr, CC BY 2.0)

季節がかかわった雨の呼び方

一説によると、「梅雨」は「梅の実が熟する季節の雨」という意味だそう。梅雨を使った言葉には、「菜種梅雨(なたねづゆ)」「さざんか梅雨」などいくつかのバリエーションがあります。

菜種梅雨は春先に降る雨、さざんか梅雨は晩秋に降る雨のこと。梅雨に季節の植物を合わせた雨の呼び方には「菜種梅雨って綺麗な日本語だな」「なんとも風流な名前。いいなぁ」「菜種梅雨、可愛らしい名前ですね」といった声が上がっています。

植物に関わる雨の名前は他にもたくさん。桜の時期の雨を意味する「桜雨」、卯の花が咲く旧暦の4月から5月に降る「卯の花腐し(うのはなくたし)」などがあります。盛りの花によって雨の呼び名を変えるなんて、なんだかオシャレな感じがしませんか?

しとしと・ぽつぽつ・ざあざあ

雨は降っている量によっても呼び名が変わります。雨粒が糠のように細かい「小糠雨(こぬかあめ)」、糸のように細い雨「糸雨(しう)」は、オノマトペで表現するなら「しとしと」といったところ。「ぽつぽつ」は、一時的に降ったり止んだりする「時雨(しぐれ)」やほんの少しだけ降る「涙雨」などのあまり雨足が強くない雨がぴったりですね。

なお、夜に降る「時雨」は「小夜時雨(さよしぐれ)」と呼ばれていて、夏目漱石や正岡子規など文豪の俳句集にも登場。情緒あふれる季語として現代でも使われています。

土砂降りのように「ざあざあ」と降る雨の呼び方は、夏の午後から夕方に降る「夕立ち」や短時間に集中して激しく降る「村雨(むらさめ)」など。竹や笹を束ねたものが空から落ちてくるような光景から名付けられた「篠突く雨(しのつくあめ)」は、かなり激しい雨をイメージできますね。

雨は生き物にとって必需品

農作物が育つために必要なのは「瑞雨(ずいう)」や「穀雨(こくう)」。乾燥した地面を濡らす「お湿り(おしめり)」は、雨が降るのを待ち望んでいた時に降る雨のことです。長らく雨が降らず、ダムの貯水率が気になるころに降ってくれる雨は、まさに恵みの雨「慈雨(じう)」と言えるでしょう。

雨の日は傘をさすのがわずらわしかったり、髪や服が濡れてしまったりと何かと不快になることもありますよね。でも、生命や植物を育むために雨は必需品。雨粒を眺めながら、ゆっくりと日本語の美しさをかみしめてみませんか?

 

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