特集:『The Wonder 500™』第13回 「ちひさきはないれ」

2015.12.05

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小さくとも妥協なき一輪差し

野草を積んで飾るための「ちひさきはないれ」は、その名の通り、小さな一輪差し。わずか直径35ミリ、高さ55ミリと手のひらに収まってしまう小さな花入れに、生けた草花が一層引き立つような木目を活かした意匠が施されているのです。

「ちひさきはないれ」を作る「工房灯のたね」は北海道・旭川にあります。この地はかつて家具の脚やノブを作る木工旋盤が盛んだったエリア。しかし工房灯のたねが起業した頃には、すでに最盛期を過ぎ衰退している産業でもあったのです。

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刃物一本で木と対話を続ける

木工の経験もなく、2007年に突如工房を起業した井上寛之さん。「木が反る方向すらもわからなかった」と自社ホームページに綴っています。それでも長い時間をかけて木工旋盤と向き合い、鏨(たがね)という刃物一本で木と対話を続けてきました。

いまではThe Wonder 500™に認定されるほど確かな技術を持ち、高速回転する木工旋盤を操りながら繊細な生地挽きをこなし「ちひさきはないれ」を作り上げます。

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素材に逆らうのでは寄り添う

旋盤に固定された木材に、鏨を差し込む。頭に描いたデザインを手の感覚だけで表現していくのです。木にはヤニがあり、節もあり、個体差もある。それに逆らうのでは寄り添うように加工しているのです。

鶴の首のようにほっそり伸びた「つるくび」のほか、「とくり」「うずくまる」「きねがた」「きぬた」「なつめ」と、花器の形状になぞって「ちひさきはないれ」には名前が付けられています。決して華美ではない野草でも、加飾を施さないシンプルで木目が美しい一輪差しとは、清廉で相性がいいことでしょう。

 

工房灯のたね
http://akarinotane.com

 

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