幻の草木染め「南部紫根染(しこんぞめ)」

2015.12.09

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かつて禁色だった最高級の染めの着物をさらりとまとう贅沢

フォーマルになり過ぎないおしゃれ着として、ツウなファンが多いという南部紫根染の着物。これを着て歌舞伎鑑賞なんて素敵です。

古来より南部地方に伝わるこの美しい紫色は、かつて奈良時代には天皇や朝廷役人だけが身に着けられる「禁色」にもなった高貴な色。紫草(ムラサキ)の根からとれる染料で染め上げられています。南部藩政時代には藩の手厚い保護下にあった紫根染(しこんぞめ)ですが、その後明治時代に衰退。一度途絶えてしまいました。現在の紫根染は、1916年に岩手県の働きかけで再度研究が始まって復活したものです。

 

あの宮澤賢治も寓話作品の題材にした、岩手が誇る紫根染

復活させたのは、「南部紫根染研究所」。その主任技師だった藤田謙さんが構えた「草紫堂」は、今も3代目が日本で唯一、紫根染の技法を受け継いでいます。

岩手が生んだ作家・宮澤賢治も、故郷の草木染めを題材に、わざと「根」の字を「紺」に変えて『紫紺染について』という作品を書いています。純朴な山男と、「紫紺染」に熱心な市中の24人のやりとりが描かれたこの寓話。1922年、平和記念東京博覧会で「南部紫根染研究所」が出品した紫根染が入賞したことを知って、その喜びを込めたのではないかと言われています。

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ケタ違いの手間ひまがかかる染色工程は、すべて手作業

紫根染の染色は、途方もない月日を要します。まずは生地に植物の色素を鮮やかに発色させる媒染液を定着させるため、半年以上寝かせる「枯らし」。その後、和紙に渋柿を塗ったもので図柄の型紙を作り、露草の花の汁で文様をすり込みます。これを下書きに、針と糸を通して絞る作業が1年以上。それからようやく染めの工程に入ります。

「これぞ紫根染」と言えるまで何度も染め重ねた後、さらに3年から5年も寝かせて発色させるのだそう。現在、代々伝わる文様は約800種。自分にぴったりの柄を探す楽しみにも、心躍る染物です。

 

■お問合せ
有限会社草紫堂
住所:岩手県盛岡市紺屋町2-15
電話:019-622-6668(9:00~17:30、毎月1日・日曜定休) 
http://www.soshido.co.jp

 

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