東京で一番古いおにぎり専門店『おにぎり浅草宿六』:「お米が主役」vol.17 柏木智帆

2016.02.23


昭和29年創業、鮨屋さながらのカウンターで食べるおにぎり

浅草は浅草寺本堂裏。言問通り沿いにある小さな店の白のれんをくぐると、8席ほどのカウンター席と、テーブルが2卓。檜の一枚板のカウンターの中には、白割烹着を来た男性。鮨屋さながらの空間ですが、壁に掛かっている品書きを見ると、「葉唐辛子」「山ごぼう」「おかか」「さけ」の文字。客の前に出されたザルの上には、鮨ではなく黒い海苔に包まれた三角形のおにぎりと、ガリではなく黄色い沢庵。昭和29年創業の東京で一番古いおにぎり専門店「おにぎり浅草宿六(あさくさやどろく)」です。

品書きを見ると、「福神漬」「紅生姜」「あみ」「風味漬(カズノコの粕漬け)」「生姜味噌漬」「奈良漬」「塩紫漬(しそづけ)」「塩辛」など、他のおにぎり屋ではあまり目にしない具材も。創業以来の変わらないラインナップだそうで、好奇心をそそられます。

店主の三浦洋介さんにおにぎりの魅力を聞くと、「中に入れる具材は何でもいい。好きなものを入れればいいのです」。品書きを見て納得の返事です。

三浦さんにおすすめの具材を聞くと、「おすすめは、ない」ときっぱり。嗜好は人それぞれなのだと主張します。味噌汁は信州味噌を合わせた赤出汁。甘辛い具材を食べた後でもすっきりと口直しができ、おにぎりの素晴しい伴走者のように思えます。そう感嘆すると、「個人的には白味噌が好き」ときっぱり。客に嗜好を押し付けない大らかさ。愛想がないのか冗談めかしているのかどちらともとれないような口調に、どことなくユーモアを感じる会話。ほっとする空間でリラックスして食事ができます。

ゆるやかでマイペースな雰囲気の三浦さんですが、実は三浦さんのおにぎりは、海外デビューを果たしています。2015年5月、一般社団法人おにぎり協会のおにぎり応援大使として、イタリア・ミラノで開かれた食の祭典「2015年ミラノ国際博覧会(ミラノ万博)」の日本館で、おにぎりワークショップの講師を務めました。おにぎりは、今や「ONIGIRI」として世界的に知名度が高い料理となっているのです。

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ミラノ万博でのおにぎりワークショップ

 

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