グルメ

神楽坂 天ぷら蕎楽亭:「食の王道」vol.16 広川道助

2016.02.25

 

神楽坂の繁盛蕎麦屋の主人が
一日一組、天ぷらと蕎麦を供する隠れ家

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料理店へ行く楽しみはなにかーこれは永遠の課題です。料理が美味しければいいのか、サービスに満足すればいいのか……。

ミシュランガイドは、こう記します。

<星は料理そのものに与えられる評価です。すなわち、店の雰囲気、サービス、快適さは、星の評価基準には含まれていません>

しかしミシュランには本国でも長く「男女別のトイレがなければ二つ星以上にはなれない」など、料理以外の評価基準のウワサが囁かれていました。だからこそ、共用トイレしかない「すきやばし次郎」が三つ星に輝いたときに驚きがあったといわれてます。

ずるいかもしれませんが、私は料理は総合芸術で、料理店は料理の質と価格とサービスと雰囲気がすべて兼ね備わってこそだと思っています。単純にいえば、帰宅したときに「今日はいい時間を過ごせたなあ」と思えるような店です。

料理だけが突出して美味しくても、サービスが付いていかなければ、食後の気分は決してよくはないと思うからです。

曙橋にある「天ぷら蕎楽亭」は、ほとんどメディアに露出をしていない、ある意味特殊な店です。だからこそ私の考える満足感を味あわせてくれるのかもしれません。しかし、一見お断りでも、会員制でもなく、事前にきちんと予約さえすれば、だれでも同じ「食事をする喜び」を与えてくれます。

この店の名前は知らなくても「蕎楽亭」ならご存知かもしれません。神楽坂の蕎麦屋でミシュランの星つき。いつ行っても満席の繁盛店です。

店主の長谷川健二さんは神田の蕎麦屋で修業し、この店を開く際、大好きな天ぷらを中心にした酒肴を出し、最後に蕎麦を楽しむカジュアルな店としました。だから蕎楽亭で天ぷらを頼むと、店主みずから揚げてくれることも少なくありません。

 

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