グルメ

新橋 ほそ川:「食の王道」vol.19 広川道助

2016.03.17

 

面倒なアラカルトを作り続ける 
新橋「ほそ川」主人の意思

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何度か店を訪れ、店主と仲良くなり、よもやま話が出来るまでになると、通うのが楽しくなります。

「どうしたら仲良くなれますか」と聞かれることもあるのですが、別に秘訣などはなく、料理が美味しかったら素直にその感想を伝えれば、話の糸口はできるはずです。

新橋の日本料理店「ほそ川」に最初にうかがったきっかけを今では思い出せませんが、紹介ではなく、電話で予約して行きました。店は雑居ビルの5階、しかもエレベータを降りても店を見つけるのがかなり大変で、面倒くさくなって帰ってしまう客もいそうなほどの場所でした。

店主の細川敦史さんは大学時代は栄養士を志し、当初は「そのためには料理も知っていたほうがいいか」程度の気持ちで料理修業を始めたそうです。ところが、料理人のほうが面白くなり、神楽坂の割烹できちんと学び、いまや一城の主となりました。

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私がこの店を気に入ったのは、アラカルトに対応しているからです。カウンター8席とテーブル6席という規模で、アラカルトをするのはとても大変です。どうしても破棄する食材が多くなり、原価率が上がってしまうからです。しかも客は面倒だから、コースがあらかじめ決まっている店のほうを好む傾向にある。つまり、客も主人もコースのほうが楽ということなのです。

それなのになぜやるか。たぶん、彼とはそんな話をして仲良くなったんだと思いますが、それとなく聞いても、細川さんはいつもにこにこして「アラカルト、たしかに大変なんですよ」としか答えません。なので私は勝手に、彼は作りたい料理がたくさんあって、コースだけだとその思いに料理が追いつかないからだと考えています。というのも、彼のフェイスブックページを見ていると、新しい食材を手に入れて、それで料理を作る喜びが写真と文章から伝わってくるからです。

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