朝日町ワイン・マイスターセレクションキュヴェメルロー2013 :「いますぐ飲みたい日本ワイン」vol.24 柳忠之

2016.04.07

 

 

日本ワインコンクールで山形初の金賞を受賞したワイナリー

ロッシェル塩をご存知でしょうか? 正式な名前は酒石酸ナトリウムカリウム。第二次世界大戦中は通信機器の圧電素子として需要が高まり、ワインには多くの酒石酸が含まれていることから、日本中のブドウ産地でワイン造りが奨励されました。そんな背景から、大戦末期の1944年9月に設立されたのが山形果実酒製造有限会社。現在の「朝日町ワイン」です。

朝日町が位置するのは山形県中央部。南西部に東北のアルプスといわれる朝日連峰、南東部には白鷹山地が連なり、町の中心部を最上川が流れる自然豊かな土地。最上川の両岸には河岸段丘が広がり、土壌は痩せた粘土質で、ブドウやリンゴの栽培に適しています。

3年前の日本ワインコンクール(当時は国産ワインコンクール)では、2011年の「マイスターセレクション遅摘みマスカットベリーA」が山形県産ワインとして初の金賞を受賞。その翌年、ワイナリーを訪ねた時には、受賞のおかげでワインがよく売れ、新しい醸造用タンクを入れることも出来たと、たいへん喜ばれていたことが思い出されます。

さて、受賞したマスカットベリーAは果実味がチャーミングなよいワインでしたし、シャルドネも青リンゴを思わせるすっきりした香りが涼やかに感じられ、酸もしっかりした独自のスタイルが好印象でした。一方、粘土質土壌と聞けば気になるのはメルローです。

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山形牛のすき焼きに合わせたくなるメルロー

朝日町ワインには、「マイスターセレクションキュヴェメルロー」という、メルローのフラッグシップがあります。フラッグシップといっても税込3455円と、とてもお値打ち。「ワイン城」をモチーフにしたラベルも高級感が漂っているではないですか。

このワインは、発酵前に果皮と果汁を低温で漬け込み、色と香りを引き出すコールドマセレーションという醸造法が用いられています。その後、タンクで発酵、フレンチオークの小樽で10ヶ月間熟成。無ろ過で瓶詰めされました。

味わってみると、とても素直なワインでした。ブラックチェリーやラズベリーの香りがポンと出てきて、しばらくすると甘草やバニラ、ビターチョコなどのフレーバー。柔らかな果実味がいかにもメルローですが、緻密なタンニンも感じられるミディアムボディ。バランスがよいので、とても心地よく楽しめます。

この品質ならば日本ワインコンクールでもさぞ良い賞を受賞したことだろうと調べてみたのですが、金賞はおろか銅賞にも入っていません。おかしい、そんなはずはないと、裏ラベルをみれば、「限定製造584本」とあるではないですか。日本ワインコンクールは最低でも1000本の在庫があるワインを対象にしているので、このメルローはエントリーできなかったようですね。

月並みですが、山形牛のすき焼きに合わせたらさぞや美味しいに違いない。そんなメルローです。

「朝日町ワイン」
価格:3455円(税込み)

■お問い合わせ
http://asahimachi-wine.shop-pro.jp/

 

取材・文/柳 忠之

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/

 

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