グルメ

荒木町 青華こばやし : 「食の王道」vol.24 広川道助

2016.04.28

 

荒木町の新天地で「青華こばやし」は、

料理、器、内装のすべてがパワーアップしました

rd850_1「こばやしさんが、六本木から新しい場所に移るらしいよ」という話を聞いたのは、昨年末だったでしょうか。

小林雄二さんが7年前に開いた六本木「青華こばやし」は、以前はおばんざい屋だったところを居抜きで借りたものでした。4人掛けのカウンターと6人ほどが座れる掘りごたつ式の小上がりがありましたが、ここ数年は予約でいっぱい。かなり以前から予定を決めないといけないほどの繁盛振りでした。

その理由は、高いクオリティの食材をリーズナブルな値段で出すこと……店はひとりでやっているから人件費はゼロで、その分原価に贅沢したからなんですが、そのための仕組みを聞くと、「なるほど」と、ひざを打って納得してしまいました。 

「焼物は備長炭を使った塩焼きだけと決めて、使う魚も季節ごとでだいたい同じ。刺身は鯛かマコガレイだし、野菜もメーンに使うものは決まっている。そうすれば、一日に使う量は少なくても必ず買うわけだから、仲卸は他の客単価が高い店よりもいいものをわけてくれるんです」

その成果が、青華こばやしの充実した料理だったのです。

rd850_2前菜は分厚いアワビの酒蒸しを中心にして、数種類の小鉢をひとつの皿に盛られて出されました。そして、豪華さに目を奪われ、日本酒をじっくりと味わっているうちに、彼は黙々と次の仕込みを開始し始めます。

夏は四万十川の鮎と1キロ超の鰻、冬は3キロ〜5キロのふぐを使った「ふぐ尽くし」が名物で、そのふぐも安くなる2月以降にしか使わないという、徹底したユーザーフレンドリーを小林さんは貫きました。

その彼が新天地と決めたのは、荒木町。スケルトンから作り上げた店は、6席のカウンターと最大12人までの個室の座敷があり、六本木よりかなり広くなりました。

 rd850_3なによりも驚くのがカウンターで、幅80センチの分厚い一枚板が鎮座しています。しかもカウンターの先に、もっと厚いまな板がドンと置かれ、小林さんが料理をするさまを目の前で見られるというわけです。

壁の棚には彼が20年以上かけて収集した素晴らしい器が木箱に入ったまま、多数置かれていますが(ちなみに店名の「青華」は九谷焼の須田青華から取られています)、準備が整うと彼はその木箱から器を取り出し、温水や冷水に漬けて、料理の最終工程に取り掛かります。彼は言います。

「まな板の幅を広く取ったのは、料理と器を味わっていただきたいからです。これだけ距離が遠いとお客様の前まで料理を出せないので、途中に置いて引き取っていただくしかありません。そのときに料理の温度や私の好きな器の設えを感じていただければと思ったんです」

客にとっても、その試みは大成功でした。カウンターの真ん中あたりに置かれた器を手前に引くときに、料理や器の質感を再確認できるからです。

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