千歳ワイナリー(北海道中央葡萄酒)ピノ・ノワール・プライベート・リザーヴ2013:「いますぐ飲みたい日本ワイン」 Vol. 26 柳 忠之

2016.04.20

 

リンゴからワイン用ブドウの栽培に転換した余市

このコラムでもたびたびご紹介している山梨のグレイスワインこと、中央葡萄酒。甲州やシャルドネ、ボルドー系の赤ワインで評価の高い造り手ですが、じつは北海道にも姉妹ワイナリーの「千歳ワイナリー」をもち、気難しいピノ・ノワールからなかなか優れたワインを造っています。 

このワインに使われているブドウを育てたのは、余市のブドウ農家、木村農園の木村忠さん。余市は歴史的にリンゴ栽培の盛んな土地でしたが、80年代に日本国内のリンゴの生産量が100万トンを超えると、過剰生産による価格の暴落で次第に行き詰まるようになりました。そこでリンゴに代わる作物として、近隣の農家とともに始めたのがワイン醸造用のブドウです。

大手ワイナリーとの契約もまとまり、順風万端に思えたのも束の間、突然の契約解除。そんな中、木村さんの栽培するピノ・ノワールに興味を示してくれたのが、中央葡萄酒の三澤茂計さんだったそうです。

三澤さんは千歳市農協から依頼され、1988年にこの地でハスカップ酒の醸造を開始。木村農園との取り組みは1992年に始まり、ピノ・ノワールとケルナーを購入しています。

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限定醸造850本のピノ・ノワール

グレイスワインといえば、勝沼、明野のマドンナ、醸造家の三澤彩奈さんが思い浮かぶでしょう。けれども、千歳ワイナリーを管理運営しているのは彩奈さんの弟の計史さん。醸造は山梨大学の青木さんが担っています。

ここでご紹介する「ピノ・ノワール・プライベート・リザーヴ2013年」は、木村農園のピノ・ノワールを醸造。フレンチオークの小樽で9ヶ月熟成させ、その間の試飲によって、とくに優れた3樽のみ特別に瓶詰めさせたものだそう。

淡いルビー色。香りはピノ・ノワールらしいラズベリーやブラックチェリーのフレーバーがきれいに開き、バニラやシナモンの風味がほんのりと彩りを添えます。口当たりは柔らかく、スムースで、シルキーな喉越し。ブルゴーニュのワインに例えるなら、ヴォルネイのようなスタイルです。

近頃はすっかり、ピノ・ノワールなら北海道のイメージが定着しつつありますが、気まぐれな品種であることに変わりなく、栽培にしても醸造にしても、毎年たいへんなご苦労があるに違いありません。

わずか850本の限定醸造品。蝦夷鹿のローストにぴったりです。

 

5000円(税抜き)/千歳ワイナリー 
http://www.chitose-winery.jp/index.html

 

取材・文/柳 忠之

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