銀座 久保田:「食の王道」vol.30 広川道助

2016.06.09

 

繊細さと豪快さが両立した料理と酒!
「銀座 久保田」の上手な使い方

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偏見だとは重々承知していますが、チェーン店、食品会社や酒造会社の直営店、テーブル席重視の大箱店というのは最初から色眼鏡で見てしまい、できるかぎり近づかないようにしていました。

チェーン店は利益率を重視しがちですし、直営店は親会社の商品を宣伝することが大方針、カウンターがしっかりしていない大箱は会話の繋ぎ程度にしか料理を考えていないところが多いからです。

だから、銀座に日本酒「久保田」の全銘柄が飲める店「銀座 久保田」が出来たと聞いた時にも、あまり気に留めませんでした。以前にも久保田を飲んだことはありましたが、30年くらい前に大ヒットした端麗辛口の銘柄という記憶しかなかった。いまは多種多様な酒が出回っているので、ちょっと古臭いイメージすらしたからです。

ところが友人の猛烈なプッシュもあり、お店にうかがったのが昨年5月の開店直後のことでした。店のエクステリアは正直に言って、この店ならではの存在感はあまり感じませんでした。しかし、料理と日本酒をいただいてから、少なくとも私の偏見は消え去ったのです。

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「久保田」は新潟県長岡市にある朝日酒造のトップブランドですが、久保田以外にも「朝日山」や「洗心」「越州」などがあります。ところが、久保田以外は東京で手に入れることが難しく、なかなか飲む機会がありません。そのすべての酒をこの店では飲めるというのが、なによりも嬉しい発見でした。飲んでみると、久保田はいまに至っても十分、新しい酒だということがわかります。

しかも、杜氏の指導を受けたサービスが素晴らしく、それぞれの酒に最適な温度を提案してくれたり、飲み比べが出来るのです。たとえば、「久保田 萬壽」は久保田のなかでも最高の酒ですが、20度と30度で飲むと、こうも味わいが違うのかと驚きました。

そして最大の誤算が料理でした。

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