ファームガーデンたそがれの「耕さないたんぼのお米」:「お米が主役」 vol.33 柏木智帆

2016.06.21

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生きものの住みかを守る 自然の営みで育むごはん

「耕作」という言葉があるように、「田畑=耕す」が、多くの人の認識となっています。

そんな“常識”を覆す、「耕さないたんぼのお米」をつくっているのは、秋田県潟上市の「ファームガーデンたそがれ」。

人が耕さないことで生きものの住みかを守り、そこに住む生きものたちが活動することで土が耕されます。生きもののためにも、もちろん農薬は使いません。人は肥料を施しませんが、代わりに、生きものたちの排泄物が肥料分となります。

「この農法では、生き物が重要な役割を果たします。土の中の生き物はわかりにくいですが、トンボが羽化したり、蛍が飛んでいたりと、他の田んぼでは見られないものが見られます」と話すのは、農園主の菊地晃生さん。この農法を続けていくことによって、生きものたちや植物の成育に適した環境になるのだそうです。

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白鳥が飛来する 生きものいっぱいの田んぼ

生きものの住みかを守るために、さらに「ふゆみずたんぼ」という農法も採用している菊地さんの田んぼ。一般的には、秋の稲刈り後、田んぼの水を抜いておきますが、ここでは、通年、田んぼに水をはっています。この農法を、「ふゆみずたんぼ」と呼びます。水をはることによっても、生きものいっぱいの豊かな田んぼになるのです。

菊地さんが「耕さない」「ふゆみず」の農法に取り組み始めてから3、4年ほどたったころから、冬になると、白鳥が1羽、2羽と、飛来するようになりました。ふゆみずたんぼに住む小さな生物は白鳥たちの餌。白鳥たちは餌をついばむためにやってくるのです。そして、5年目の2010年の冬。たくさんの白鳥が菊地さんの田んぼにやってきました。

「着実に1年1年、生き物が増えているということはわかっていましたが、白鳥がやってくることで、田んぼに小さな生き物がいることが可視化されました」と菊地さん。日々のお米づくりに対して、自然界の営みが応えてくれたことに感激したと言います。

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