特集:Burning 瀬戸内 – 岡山 – vol.3 「利守酒造」

2015.10.08

幻の雄町米で醸す、本物の日本酒

写真①メインカット

情熱が復活させた軽部産雄町米

写真②メインカット

和食以外の席でも日本酒を嗜むのが一般化しつつある昨今、世界中から日本酒に熱い視線が注がれています。その中でも、国内の品評会のみならず国際博覧会においても高く評価されているのが「雄町米」から造られた日本酒。昭和初期には「品評会で上位入賞するには雄町米で醸した吟醸酒でなければ不可能」とさえ言われていました。岡山県赤磐市は全国の9割を占める雄町米の一大産地。山田錦や五百万石などの優良品種の親としても重宝され、現存する酒造好適米の約2/3の品種は雄町の系統を引き継いでいるとも言われています。しかし、昭和40年代には栽培面積がわずか6haに落ち込み、絶滅の危機に直面していました。そこで、幻になりつつある雄町米を復活させようと立ち上がったのが赤磐市西軽部に酒蔵を構える利守酒造です。”軽部地域”は、昔から特に良質な雄町米が採れる地域として全国的に知られ、名実ともに最高品質の雄町米を栽培してきた酒造米の米どころ。しかし、多品種に比べて丈が高いため台風に弱く、病害虫にも弱いことから栽培の難しい雄町米に再び着手することは、当時の農家にとってさらに難しいことになっていました。そんな中、利守酒造の熱心な姿勢と農家の所得保証を請け負うといった献身的な取り組みが徐々に受け入れられ、いまでは地域一体となって雄町米の栽培を推進するまでに。醸造用アルコールを添加した酒が多く流通する現代。利守酒造はこの復活させた軽部産「雄町米」を使用した純米大吟醸「赤磐雄町」で世に本物の酒を知らしめました。平成に入ってからは、名匠・森陶岳氏による備前焼の大甕で酒造りをするなど新しい試みも。「手間がかかってもいい。地元の米で、地元の水で、地元の土で作った備前の焼き物で、私は本物の地酒を造りたかった」と話す利守蔵主。この強い思いこそが、本当に旨い酒を醸し出す最大の工程なのかもしれません。

森陶岳氏が特別に制作した備前焼の大甕。全国で唯一の醸し方

森陶岳氏が特別に制作した備前焼の大甕。全国で唯一の醸し方

酒米の帝王と呼ばれた雄町米で醸す香りと味わい

酒米の帝王と呼ばれた雄町米で醸す香りと味わい

 

酒米の帝王と呼ばれた雄町米で醸す香りと味わい

純米大吟醸酒「赤磐雄町」は赤磐産の雄町米を使用した利守酒造の代表銘柄。重厚で奥行きのある味わいから、酒本来の旨味を愉しめます。このほかにも貴重な雄町米で醸した様々なタイプの日本酒を製造しているので呑み比べてみるのも一興。中でも、備前焼の甕に貯蔵して酒蔵の裏に古くから残る洞窟で長期熟成する古酒はウイスキーのような琥珀色を帯び、一味違った奥深い旨さを味わうことができます。口中で広がる雄町米ならではの旨味、日本酒本来の香りと味をぜひご自身で確かめてください。

 

大吟醸酒 赤磐雄町

1800ml : 5000 円(税別)

720ml : 3000 円(税別)

  • 赤磐雄町(あかいわおまち)は利守酒造の登録商標です。

 

最新の貯蔵タンク。過度に熟成が進まぬよう温度管理を徹底している

最新の貯蔵タンク。過度に熟成が進まぬよう温度管理を徹底している

備前焼の甕に貯蔵して二十年前から長期間熟成している醸造酒

備前焼の甕に貯蔵して二十年前から長期間熟成している醸造酒

 

写真⑦外観

 

http://www.sakehitosuji.co.jp

 

取材・文/PLUG編集長 YAMAMON

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