ルバイヤート甲州シュール・リー2014:「いますぐ飲みたい日本ワイン」 vol. 38 柳 忠之

2016.07.20

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ボトルのレリーフは高品質甲州ワインの証

このワインのボトルネックにあるレリーフ、ご存知でしょうか? 

少々抽象的な造形でわかりづらいのですが、明治10年、本格的なワイン醸造を学ぶため渡仏した勝沼の二青年、高野正誠と土屋龍憲のポートレート。この特製ボトルは、今から27年前の1989年に誕生しました。

89年、日本はバブル景気の真っ只中で、ボジョレー・ヌーヴォーのブームに沸いていた頃。その4年前のプラザ合意で円高が一気に進み、雪崩を打ったように輸入ワインが日本市場を席巻することが予想され、それが現実のものとなったのです。

この状況を危惧したのが勝沼の(当時)若手醸造家たち。そこで彼らは勝沼が誇る甲州種ワインの品質向上を目指し、「勝沼ワイナリークラブ」(現在は勝沼ワイナリーズクラブに改称)を結成。独自の厳しい基準を定め、さらに官能検査に合格したワインのみ、この特製「勝沼ボトル」に詰めることとしました。

つまり勝沼ボトルに詰められたワインは、品質保証付き甲州なのです。

ビジネスクラスでもサービスされる、安心の銘柄

設立当初からのメンバーで、今では日本ワイン界の重鎮が、ルバイヤートワインこと丸藤葡萄酒工業の大村春夫さん。毎年4月に開催されるワイナリーコンサート「蔵コン」は、手作り感たっぷりの素朴さが返って人気です。以前、このワイナリーのアイテムでは、日本ワインコンクールで金賞を獲得し、たちまち幻のワインと化してしまった「プティヴェルド」をご紹介させていただきましたね。

今回はご覧のように、勝沼ボトルに詰められた「ルバイヤート甲州シュール・リー」。丸藤の金看板というべきアイテムで、しばしばエアラインのビジネスクラスでサービスされるワインに選ばれています。

ワイン名にあるシュール・リーとは、フランス語で「澱の上」という意味。発酵終了後、役割を終えて沈殿した酵母を、一定期間ワインと触れさせておくことによって、独特の香味が加わると同時に、ワインに厚みが生まれます。

実際、口に含んでみると、キリッとした辛口ながら適度なボリュームも感じられ、フレッシュ感と複雑性を兼ね備える充実した味わいに仕上がっています。バックラベルに「日本の食に合うワイン」をテーマにしたとあるように、真っ先に浮かぶ料理は焼き鳥(塩)や寿司など。リーズナブルな価格で楽しめる質の高い甲州として、いつでも安心してお勧めできる1本です。

1944円(税込)/丸藤葡萄酒工業 
http://www.rubaiyat.jp

取材・文/柳 忠之

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/

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