タキザワ・ワイナリー・ミュラー・トゥルガウ2015:「いますぐ飲みたい日本ワイン」 vol. 39 柳 忠之

2016.07.27

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57歳でワイン造りに目覚めたコーヒー専門店オーナー

北海道のタキザワ・ワイナリー。このワイナリーには行ったことも、またワインを飲んだこともなかったのですが、素朴なラベルに魅かれて1本購入してみました。

ネットで調べてみたところ、ワイナリーを設立したのは1945年生まれ、今年で71歳になる滝沢信生さん。札幌でコーヒー専門店を営んでおられたそうですが、57歳の時に突如ワイン造りに目覚めたそうです。そのきっかけは「自然との共生の想い」と「北海道の土地のワインに可能性を感じた」から。

2004年に北海道三笠市達布地区の土地1ヘクタールを開墾。2年後、ピノ・ノワールとソーヴィニヨン・ブランの苗木を植樹。08年に初収穫。現在、ブドウ畑の広さは3ヘクタールとなり、ピノ・ノワールとソーヴィニヨン・ブランのほか、シャルドネも栽培しているそうです。

特殊な造りのユニークな風味をもつ白ワイン

試したワインはミュラー・トゥルガウ。ドイツ系のブドウ品種ですね。この品種は自社畑には植えられていませんから、買いブドウになります。ウェブサイトの情報によれば余市の中井観光農園産とのこと。

造り方がとても凝っていて、醸し38パーセント、マセラシオン・カルボニック36パーセント、ノーマル26パーセントとなっています。普通、白ワインの醸造では、収穫したブドウをただちに圧搾し、搾った果汁を発酵させます。「醸し」とは、発酵中も果皮を漬け込む方法で、一般に赤ワインで用いられる醸造法です。マセラシオン・カルボニックも赤ワインの醸造法です。ブドウを潰さずに二酸化炭素の充填された発酵タンクに投入すると、酵素の働きにより果粒の中で発酵が始まります。黒ブドウならタンニンの少ない、フルーティな赤ワインに仕上がります。ボジョレー・ヌーヴォーがまさにこの醸造法です。

白ワインにこのような醸造法を用いた理由は定かではありませんが、酸化防止剤(亜硫酸)の添加量を抑えるためかもしれません。このワインの酸化防止剤添加量はわずか9ppm。とても少ない数値です。醸しを行えば、果皮に含まれるポリフェノールが抗酸化作用をもたらすでしょうし、マセラシオン・カルボニックは炭酸ガスのおかげで醸造中の酸化が防げます。

こうして出来上がったワインは、とてもユニークな風味でした。ミュラー・トゥルガウというと、マスカットのような華やかな香りが特徴ですが、白ワインとしては特殊な醸造法のためでしょう。典型的なミュラー・トゥルガウとはまったく異なる香りです。

はじめはスモーキーなニュアンスがあり、次に白檀、そしてジンジャーです。ウェブサイトにも「生姜などのスパイス」とあり、いくらなんでもミュラー・トゥルガウからその香りはないでしょう、、、と思ったのですが、まさに生姜そのものでした。

味わいはピュアな酸味をもつ辛口。ミュラー・トゥルガウのワインは甘口が多いので、この点でもユニークです。

誰にでもおすすめできるワインではありませんが、個性の強い白ワインをお探しの方にはうってつけ。漬物やシメサバなどと合うような気がします。

2300円(税抜)/タキザワ・ワイナリー 
http://www.takizawawinery.jp/index.html

取材・文/柳 忠之

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/

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