〜製塩所訪問記②:屋我地マース〜:「本日もいい塩梅」vol.14 青山志穂

2016.08.12

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伝統製法が復活!希少な入浜式塩田

「屋我地マース」が製造されているのは、沖縄本島と橋で繋がった屋我地島。ここはかつて、薩摩藩によって本土から伝えられた入浜式塩田が広がる塩の名産地でしたが、時代とともに衰退し、本土復帰に伴う専売制度の適用で、一旦は完全に消滅しました。

その塩田を復活させたのが、建設業を営む上地氏。実は入浜式塩田は日本では非常に希少で、現在全国で稼働しているのはここ屋我地島と香川県宇多津町の2か所のみ。保存活動もされず消滅していく塩田跡を見て「貴重な塩田をこのままなくすわけにはいかない」という想いで、復興に向けて活動を開始。

詳細な文献がないため、過去に塩づくりに携わっていた人の記憶を頼りに、昔ながらの塩田を復活させました。干潟の上に琉球石灰岩を敷き詰め、その上にこの屋我地島に特徴的な粘土質の砂を敷いた塩田は、ここ屋我地島ならではのものです。

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「想い」が支える入浜式塩田での塩づくり

入浜式塩田では、まず、広大な塩田の外側に溝を作り、干満の差を利用して海水を引き入れます。毛細管現象によって塩田の表面に吸い上げられた海水が太陽と風の力で砂に付着して塩として結晶するので、それを人力で集めて、そこに海水をかけ流して濃縮海水を作りだします。さらにそれを平釜で煮詰めて濃縮・結晶させるという、非常に労力のかかる製法です。もちろん塩田は屋外にあるため雨が降れば作業ができず、生産できる日が限られており、年間生産量は多くありません。

また、作業は炎天下で行われるため、非常に過酷であり、この製法を採用する事業者は上述の通りほとんどいません。それでも、この地に伝わる塩づくりを後世に伝えたいという熱い想いが、入浜式塩田の塩づくりを支えています。

塩づくりの魅力を多くの人に知ってほしいと、地元の小学校や博物館による塩づくり体験が年に数回行われるほか、一般のお客様の塩田体験も受け付けています。なかなか体験することのできない塩田製法なので、一度体験してみてはいかがでしょうか。

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