マール・ド・キザン :「いますぐ飲みたい日本ワイン」 vol. 42 柳 忠之

2016.08.17

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ワイン版滓とり焼酎

本日ご紹介のものはブドウが原料ですが、厳密にいうとワインではありません。名前は「マール・ド・キザン」。マールというのは、フランス語でいうところの搾り滓。その搾り滓から造られた蒸留酒をマールといいます。

赤ワインの醸造では、ブドウの皮や種と一緒に醸し発酵を行います。酵母の働きでブドウ果汁に含まれる糖分がアルコールに変わり、ワインになった後、皮や種といった固形物を除くために圧搾します。この時に出来た搾り滓にはまだアルコールが含まれているので、これを蒸留器にかけるとアルコール度数の高いスピリッツが出来るというわけです。

酒かすから造られる滓とり焼酎のブドウ版といえば、わかっていただけるでしょうか?ちなみに同じようにブドウの搾り滓から造られるスピリッツに、イタリアのグラッパがあります。フランスのマールはたいていオーク樽で熟成させるので琥珀色ですが、これはご覧のように無色透明。
どちらかといえば、イタリアのグラッパのほうに近いですね・・・。

クリーンでピュア、雑味なし。夏はオンザロックで

さて、マール・ド・キザンとあるように、このマールは山梨県の塩山にある機山洋酒工業が造ったもの。キザンのワインは以前、甲州を原料に、シャンパーニュと同様の瓶内二次発酵で造られたスパークリングワインをご紹介させていただきました。さすが学識派の土屋ご夫妻。引き出しの多さに脱帽です。

このマールはブラッククイーンのワイン造りで生じた搾り滓を2度蒸留したもの。アルコール度数は40パーセントにも達します。

イタリアのグラッパに時々あるような、癖の強いスタイルを想像していたのですが、このマールはとても洗練されていて、いわゆる雑味がありません。クリーンでピュア。ほのかにブドウそのもののフレーバーも香り、アフターテイストもきれいです。

食後にストレートで楽しむのが王道ですが、蒸し暑いこの季節はオンザロックがおすすめ。くれぐれもちびちびと味わい、飲みすぎには注意しましょう。

1,029円(税込み)・375ml/機山洋酒工業 
http://kizan.co.jp

 

取材・文/柳 忠之

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/

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