【東京 渋谷】瓢六亭:「食の王道」vol.43 広川道助

2016.09.08

老舗が君臨する、うなぎ料理店に殴り込み
「飄六亭」の鰻しゃぶしゃぶの旨さに舌をまく

rd850_1いまやうなぎは、堂々と高級料理の一角を占めています。

以前から安い料理ではありませんでしたが、2000円台までなら、ランチタイムでも、たまには奮発しようかという気になります。しかし、5000円もするようでは選択肢にも入りません。

ましてうなぎ料理は、基本は蒲焼の鰻重で、コースの場合でも、うまき、うざく、肝焼き、白焼き、蒲焼といった標準的な流れが決まっていて、料理のバラエティがなく、訪れても驚きに欠けます。

だから、新規参入がしづらく、問屋をしっかり押さえている老舗がいまだに君臨しているのがうなぎ料理界でした。

rd850_2そこに昨年、殴り込みをかけたのが渋谷にある「飄六亭 南平台」。関西風の地焼きを引っ提げての登場です。

うなぎ料理はご存知のように、関東は小さめのものを「背開き・蒸して焼き」にし、関西は大きめのもの「腹開き・焼きのみ」という違いがあるのですが、こちらでは大きめの関西風のなかでも一匹500グラムほどの特大といってもいい大きさを使っています。

というのも関東は一匹を料理し、頭からしっぽまでをお重に入れる見た目も重視されるのに対し、関西では切り分けしお重に並べるため、実質本位で、脂ののった大きいものを選べるわけです。

もっとも、ここの蒲焼のお重は一匹をすべて使い、頭からしっぽまでをのせるのがウリなので、これを平らげるとまさにうなぎを食べきったという充実感がありました。

しかし、この店の最大の特徴はいわゆるコース料理だけではなく、鍋料理などバラエティに富んだうなぎ料理を食べさせてくれるところです。

う鍋、う雑炊、鰻とろろ鍋、鰻すき焼きなど各種ありますが、店のサジェスチョンもあって選んだ「鰻のしゃぶしゃぶ」には驚かされました。

rd850_3 rd850_4まず、きれいに血抜きされたうなぎの身と皮が並べられた皿と、冬瓜、茄子、ネギの皿が登場します。スープは鰹出汁とうなぎの骨から取ったもの。

rd850_5あとはしゃぶしゃぶと一緒、沸いたところで身を入れるのですが、さっと湯がいた程度のうなぎの身の、ふっくらとして、脂の旨味が花開いて美味しいこと。口直しに梅干しを添えるとまた味が変わります。

それよりも驚いたのが皮のうまさ。生きているときはぬるっとした食感が、火を入れることでトロっとした感触に変わり、口に入れると溶けるように消えていくのです。

ふぐの皮はゼラチン質の妙味を味わうものですが、もっと繊細な味でした。さらに、野菜は季節によって変わるのでしょうが、冬瓜、茄子という夏野菜も、しゃぶしゃぶの合いの手に最適でした。

すべてを食べ終え、エキスが沁み込んだスープがまた絶品なのです。うなぎのエッセンスと鰹出汁が見事に調和しており、雑炊にしたらさぞや旨いだろうと思ったのですが、この日は最後に鰻重の予定だったので泣く泣く封印です。

 

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