季節の移り変わりを楽しむ塩:「本日もいい塩梅」vol.21 青山志穂

2016.09.30

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季節によって変わる塩のあじわい

これまでのコラムでのご紹介してきたように、日本における純国産の塩づくりは、基本的には海水を原料に、なんらかの方法でそれを濃縮して結晶化させて行われます。

年間を通じて製法を変えることはほとんどありませんが、同じ製法で塩を作っても、季節によって温度や湿度が変化し、また、原料となる海水の様子も変化するため、できあがる塩の結晶の形や色や成分が微妙に変化をしていきます。そこが自然塩の面白いところでもあり、これを利用して、お皿の上で季節の移ろいを表現することができます。

そんな季節の移ろいを表現した塩づくりを行っているのが、山口県油谷の向津具半島にある「百姓庵」。自然との調和を尊重した宿泊施設で、その想いに共感した人たちが世界各国から集まります。ここのご主人が生産する「百姓の塩」は、春、夏、秋、冬で変わる塩の味の変化を大切にし、今年は数量限定で春夏秋冬の塩セットも発売になりました。

rd850_Sio20-2 rd850_Sio20-3「春」「夏」強いしょっぱさとあっさりした酸味

温度も湿度も高くなる春から夏にかけては、海水への火の通りが早く、結晶は少し平たく固めになりやすくなります。 しょっぱさは少し強めで、この「百姓の塩」に共通した濃い目のうまみはもちろんありますが、途中ではっきりとした酸味を感じ、キレがよく、あとあじはさっぱりしています。

春は生命の芽吹きの時期。ふきのとうなどの山菜など、解毒作用のある少し苦味のある食材も多く出回ります。そういった食材をてんぷらにして、「春」をかけると、油切れがよくなり、さわやかな味で食べられます。 夏は汗をかくため、ナトリウムを中心としたミネラル不足になりやすい時期。また、暑さで食欲が落ちがちなので、濃厚な味よりはあっさりとした味が受け入れやすい時期です。「夏」の酸味と強めのしょっぱさは、そのような季節による口の変化にしっかりと対応してくれます。

rd850_Sio20-4 rd850_Sio20-5「秋」「冬」こってりとした濃厚なうまみと苦味

気温も湿度も低くなる秋から冬にかけては、春や夏に比べると、結晶の固さが柔らかく、口の中でするりとほどけやすくなります。また、しょっぱさが弱くなり、その分うまみが濃厚になってきます。 「秋」は、あとくちにしっかりとした苦味を感じます。「冬」も同じように苦味を感じますが、さらにこってりとした濃厚なうまみが増し、味の余韻も長くなります。

旬の食材に、その時期の塩を合わせてあげるだけで、その食材のうまみが引き立ちやすくなります。また、おにぎりを、春夏秋冬の塩で握り分ける。ただそれだけで、食材から異なる味わいを引き出し、季節の移り変わりを表現することができます。

とても繊細だけれど、四季のはっきりとした日本ならではの楽しみでもあります。ぜひ、お試しください。

 

「百姓の塩 春夏秋冬 」   
※限定商品のため購入の際には要お問い合わせ
価格:100g袋入り 260円(税抜)

 

■お問い合わせ
百姓庵
電話:0837-34-0377 または 050-1440-8934
http://hyakusho-an.com/

取材・文/青山志穂

【青山志穂の〈本日もいい塩梅〉】一覧記事はこちら
 http://www.premium-j.jp/aoyama_shiho//

rd300_mg_7507《プロフィール》

青山志穂

一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会 代表理事・ソルトコーディネーター

東京都出身、沖縄県在住。大学卒業後、大手食品メーカーで商品開発等を担当。2007年に沖縄県に移住後、塩に魅せられて塩の道へ。塩の専門店で社内資格制度の構築や人材教育、商品開発を行ったのち、2012年に(社)日本ソルトコーディネーター協会を設立して独立。現在は、塩のプロフェッショナルであるソルトコーディネーターの養成講座のほか、全国を飛び回りながら、塩に関する講演をはじめ、テレビやラジオ、雑誌などへの出演、塩売場のコーディネートなどを行っている。著書に「塩図鑑」(東京書籍)や「琉球塩手帖」(ボーダーインク)など。
公式サイト : http://saltcoordinator.jp 公式ブログ : http://blog.saltlabo.com

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