食べる温泉?温泉からできる塩2:「本日もいい塩梅」vol.23 青山志穂

2016.10.14

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鹿島温泉からできる塩“山塩”

前回に引き続き、今回も日本各地で生産される温泉塩をご紹介します。

海のない信州の山奥、南アルプスのふもと標高750mの大地から湧き出る塩泉をじっくりと薪で焚きあげたのが、この「山塩」です。産地となる大鹿村は、その面積の約97%を原生林が占める山奥の村で、四季を通じて美しい自然が堪能できることでも知られています。

どうして山中なのに塩泉が湧くのか?一説には、はるか昔の地殻変動により閉じ込められた海水が湧きだしていると言われていますが、実はまた科学的に解明されておらず、その理由は謎のまま。源泉に含まれる塩分量はほかのエリアよりも濃く、約3%程度。その塩水を薪でじっくりと炊いて仕上げた山塩は、明治の中期頃から地元民にとって大切なものでした。専売制度で一度途絶えたこの塩を、この地で宿を営む「山塩館」の4代目が復活させ、温泉塩が生み出されています。

山のミネラルがもたらす複雑味があり、かどのないしょっぱさで、非常に濃厚なうまみがあります。シンプルに塩おにぎりにしたり、トマトなどのうまみの強い野菜にぱらりとかけて食べるのがおすすめです。

大正天皇ご成婚の際には、その希少性と歴史的価値が認められ、特例として500斤が献上された歴史もあります。

rd850_Sio23-02親子2代で作る日本一熱い温泉の塩

長崎県小浜市に湧く小浜塩泉は、その源泉の温度が約105℃と、日本一高いことでも知られています。かつてこの地では湧出量約15000トン/日という豊富な湯量を活かした塩作りが盛んに行われていましたが、あまりに塩を作りすぎたために源泉が枯れかけるという事態となり、一時は塩作りが中断されていました。時は経ち、源泉のうち約4割弱が未利用のまま海に排出されていることに着目した木村氏によって、この地での塩作りが復活しました。現在は、親子2代での塩作りを行っています。

その製法は特殊で、高温度の源泉を利用して、まるで湯煎のようにして塩泉を温め、濃縮・結晶させ、最後に天日に干してさらさらに仕上げています。Co2をできる限り排出しない環境に配慮したその製法で、エコジャパンカップ2010を受賞。JR九州の豪華列車の食堂車メニューにも採用されています。

適度なしょっぱさがあり、いい意味での複雑さがあり、余韻にほのかな苦味と甘味を感じます。白身魚の塩焼きやゆでたまご、ひやしあめや甘酒にぴったりです。

 

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