タケダワイナリー ブラン・ド・ノワール樽熟成2014:「いますぐ飲みたい日本ワイン」vol. 45 柳 忠之

2016.10.12

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日本ワインは自由だから伸びている

日本ワインのよさ、あるいは面白さは「自由」なところだと思います。

日本でもワイン関係の法整備が進んでいますが、フランスのワイン法であるAOC(原産地呼称制度)をそのまま取り入れてしまうと、産声を上げたばかりの日本ワインに手枷足枷を課すことになり、自由な発想や多様性を奪いかねません。

もちろん、フランスのAOCはAOCで大きな意味があります。長いワイン造りの歴史の中で、それぞれの土地にもっとも適したブドウ品種や栽培法、醸造法が根付き、フランス語でいう”ティピシテ(典型性)”の明確なワインが各地で造られるようになりました。

しかし、日本はまだまだこれから。せいぜい勝沼の甲州と桔梗が原のメルローにティピシテが感じられるようになってきた程度。だから今はなんでもありでいいんですよね、日本ワイン。

赤い果実のフレーバーが感じられる白ワイン

「ブラン・ド・ノワール」についてはすでに以前、北海道のドメーヌ・タカヒコのワインをご紹介したことがあります。黒ブドウの白ワイン仕立て。

赤ワインが赤いのは、黒ブドウの果皮に含まれる色素によるものなので、黒ブドウを白ブドウのように、収穫後ただちに搾って、果皮と切り離せば白い果汁が得られます。それを発酵させたのがブラン・ド・ノワール。シャンパーニュをはじめとするスパークリングワインでは当たり前の醸造法ですが、スティルワインでは珍しいというお話をしたかと思います。

今回のワインは、山形のタケダワイナリーがマスカット・ベリーA種から造ったブラン・ド・ノワールです。

タケダワイナリーの醸造責任者は社長も兼務する岸平典子さん。今や日本ワイン界の大御所ですが、チャレンジ精神は台頭する若手に負けていません。

山形県産のマスカット・ベリーAを収穫後、厳しく選別し、その後、ゆっくりやさしく圧搾。その果汁をフランス産のオーク樽で発酵、熟成させました。ラベルにあるフランス語、「l’elevage en fût(レルヴァージュ・アン・フュ)」は樽熟成という意味です。このヘタウマな文字で書かれたラベルもシュールでいいですね。

白ワインですが、なにしろ黒ブドウですから、うっすら色づいたタマネギの皮のような色調。香りはフローラルさとともに、赤い果実のフレーバーも漂ってきます。白ワインなのにチェリーや赤すぐりのような赤い果実を感じさせるのが、ブラン・ド・ノワールの興味深いところ。

口に含むと意外やボディはしっかり。香りよりもストラクチャーのために、オーク樽が使われたことがわかります。山形らしい爽やかな酸味も心地よく、新しい感覚のワインに仕上がっていました。

合わせる料理でふと思い浮かんだのはニジマス。単に塩焼きでもいいですが、酸味を効かせたクリーミーなソースを添えると、より合いそうですよ。

2268円(税込)/タケダワイナリー 
http://www.takeda-wine.co.jp/

 

取材・文/柳 忠之

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/

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