グルメ

「ショコラは五感で味わってほしい」ショコラティエ、小山進氏インタビュー《後編》

2016.10.24

《前編》では、ショコラティエの小山進シェフに、フランスでもっとも権威のあるチョコレートのコンクール「クラブ・デ・クロクール・ドゥ・ショコラ(C.C.C)」に出品した2016年の新作について、また、ショコラへの思いを語っていただきました。

後編では、カカオの産地に近い考えを持ったチョコレート職人を意味する “カカオティエ”として、カカオの魅力やショコラの味覚の奥深さについてお話しいただきます。

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今年訪れたペルーで、カカオとともに

カカオティエを目指し、ルーツの大切さを知る

カカオティエを目指す小山シェフは、毎年カカオの産地へトリップに出るといいます。こうしたカカオをめぐる旅も、インスピレーションを得るための大切な手段の一つ。2014年にコロンビアのアルアコ族が営むカカオ農園を訪問したことは、翌年2015年のコンクール作品に大きな影響を与えました。そして今年も新たなカカオを求めてペルーへ行ったそう。

「コロンビアやエクアドルへ行って、ヨーロッパのルーツはここにあるな、と実感しました。ぼくはルーツから派生したものより、ルーツそのものが好きで興味があります。だから僕の目は、日本で古来より伝わる食文化に自然と向かっていきました。今年の新作の『自然や先人が残した知恵を生かす』というテーマが、まさにそうです」

カカオティエとして世界をめぐるうち、改めて日本の食文化を意識するようになった小山シェフ。もちろんそれまでも数多くの日本の味覚とショコラのマリアージュを発表してきたわけですが、より理解が深まったといいます。

rd850_1392015年のサロン・ドゥ・ショコラ・パリにて

「もちろんこれまでも、コンクールに出場しはじめた2011年から、毎年自分にしかできないショコラを出品してきました。僕の味は、日本料理と同じで、海外の審査員にとっては非常に優しい味だし、初めて食べる味ばかり。でもこれが日本人の創るショコラであり、小山のショコラなんです。だからこそ、パリで商売をしていない僕のショコラの味わいを、年に一度だけ食べる審査員に理解してもらうため、作品を出し続け、“日本のものづくり”を知っていただく必要がありました。

ヨーロッパの方は日本の文化に興味を持ったことで日本料理が好きになり、昆布や鰹の出汁の旨味を理解するようになりました。それと同じで、僕のショコラの優しい味わいの奥にある、味覚を研ぎ澄まさなければわからない味を感じてもらえるようになってほしい。日本人がつくるショコラが世界で通用するようになった今、まだ知られていない日本の味覚や素材を発表し、評価されることで世界の味覚も進化し成長することでしょう。世界を見渡せば、そこには様々な食文化がみられ、それぞれに面白味がある。それが正しく評価されることは食文化の発展につながります」

 

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