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「石黒種麹店」の手作り米麹:「お米が主役」 vol.50 柏木智帆

2016.10.25

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手作りがゆえの酵素が多い米麹

木製の麹蓋にぎっしりと詰まった真っ白な米麹。ふわふわとした菌糸と胞子が1粒1粒の米に張りめぐり、蓋を逆さにしても麹は落ちません。顔を近づけると、麹の甘い香り。菌たちの息吹が伝わる幻想的な姿にほれぼれします。

「これが手作りの証拠です。手作りだからこそ酵素が多くなり、菌糸がのびて米粒同士が結束します」

そう話すのは、全国に10軒ほどしかない種麹屋の一つ、北陸唯一の種麹屋「石黒種麹店」当代当主の石黒八郎さん。

富山県南砺市で明治28年創業。独自の種麹を用いて、麹職人が昔ながらの麹蓋製法で一枚一枚の手作りにこだわり続けています。

石黒さんによると、機械の場合は菌糸が伸びにくいので、麹の米粒がばらばらに仕上がるそう。「熟練の職人による手作りと機械製とでは酵素の量が違うので、いまだに機械は手作りに追いついていないと思っています」。そして、「麹を甘やかさない」のが石黒種麹店の流儀。麹菌は、酵素を出しながら栄養分を取り込もうとして米粒の内部まで入り込みます。しかし、水分が多いと栄養分がお米の表面に拡散して溶け出るため、菌糸をお米の中まで伸ばしません。そのため、水分を少なくして、麹を厳しい状況下に置くことで、麹菌は菌糸を伸ばしながら酵素をたくさん出して栄養分をとるのだそう。こうしてつくられた石黒種麹店の麹は、一般的な麹に比べて酵素が多いというデータも得られています。

麹の製造は江戸時代中期から行われていたといい、年季の入った麹蓋には江戸時代の年号を表す「文政」「天保」などの文字も。種麹の製法は一子相伝で、現在は6種を培養。先祖代々の種麹を受け継いできた、老舗中の老舗です。

 

写真上:米麹に筋模様をつけるのは、表面積が少しでも多いほうが放熱するほか、余分な水分が蒸発するため
写真下:麹がぎっしりと詰まった麹蓋を手にする石黒種麹店4代目当主 石黒八郎さん

 

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