グルメ

「はますかむすび」のおむすび:「お米が主役」 vol.51 柏木智帆

2016.11.01

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「食べたいもの」をそろえた20数種類のこだわりおむすび

JR辻堂駅から2.5キロほど離れた民家の軒先に、おむすび屋「はますかむすび」と書かれた暖簾が下がっています。海に近い湘南の住宅街で2016年10月10日にオープンしたばかりのおむすび屋です。

はますかむすびは、長年にわたって有機農業米の支援活動を続けてきた牧下圭貴さんと榑林加奈子さん夫妻が経営。牧下さんは学校給食に関する著書もあるなど、日本の食に関する消費のあり方について、積極的に活動してきました。はますかむすびは、その集大成とも言えるお店です。

並んでいるおむすびは常時20数種類。「食べたいものをそろえた結果、つくる具材が多く、仕込みが大変になってしまいました」と笑うのは、榑林さん。「コンビニおむすびのツナマヨは私には甘いのです。おいしいツナマヨおむすびが食べたいなあと思って、食べ比べて一番おいしいツナだと思ったビンチョウマグロにマヨネーズを和えたシンプルな『ツナマヨ』をつくりました」。

梅干しのおむすびは、小田原・曽我の梅を使った「小田原梅干し」もありますが、榑林さんが18歳のころから27年間にわたって毎年漬けている「自家製梅干し」もメニューに並んでいます。店内の棚には自家製梅干しが入った瓶がずらり。小田原梅干しは柔らかでフルーティーですが、「がっつりと塩を使って3年以上寝かせた」自家製梅干しは皮がしっかりとした塩分30%のしょっぱい梅干し。食べ比べを楽しむのもおすすめです。
そして、なんと「納豆」おむすびの具に入っている納豆も自家製。大粒な無農薬大豆の旨みがしっかりと感じられます。『さんまごはん』のサンマは、ぬか漬けにした後、焼いてほぐしてごはんに混ぜ込んでいます。

並んでいるメニューは、飽くまで夫妻の「食べたいもの」。おいしさをとことん追求する気持ちが、手間ひまかけたおいしいおむすびづくりにつながっています。

rd850_(4)IMG_8991 店内には自家製梅干しの瓶がずらり

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卵黄の醤油漬けを具にした「満月むすび」はネーミングも秀逸

絶妙なごはんと具材のバランス感

おむすびに使っているお米は、秋田県大潟村の「ライスロッヂ大潟・黒瀬農舎」が生産した「あきたこまち」。夫妻は長年にわたって米農家と消費者を直接つなぐ「提携米研究会」で活動を続け、会の事務局も務めています。20年以上にわたって食べ続け、田んぼの状況を直接見に行くなど、味になじみがあり生産者への信頼もあるお米を使っているのです。
特に妻の榑林さんは、ごはんがないと機嫌を損ねてしまうほどの大のごはん好き。ラーメン屋でもラーメンをおかずにライスを食べるそうです。「おむすびは飽きないし日本人の体にも合っていると思います」と榑林さん。それだけにこだわりも人一倍強く、オープン前には何度も試作と試食を繰り返しました。具材の食味や味付けを確かめる際も、「具材だけを試食していてはおむすびとしての味がわからない」と考え、お腹がはち切れそうになりながら、すべておむすびの状態で試食。そうしてつくられたおむすびは、どれもごはんの量と具材の味のバランスが絶妙です。

おむすびの重要ポイントである海苔は、味、香り、歯切れともに惹かれた岡山県玉野市の海苔養殖業「邦美丸」のもの。「ごはんにかじりついたときに海苔だけ噛み切れずにごはんからはがれてしまう」なんてことはありません。ごはんに付いた海苔がしっとりとしても難なく噛み切ることができ、海苔とごはんの相性の良さも噛み締めることができます。

 

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