グルメ

「食の王道」vol.54

【東京 神田】季節料理 ながた: グルメキュレーター 広川道助

2016.11.24

寒波とともに鍋料理の季節到来! 
旧知の仲間と囲むならこちらへ

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寒くなってくると、つい数か月前の今年の夏が暑かったのかどうかも忘れてしまいます。で、11月の声を聞くと、鍋でも行こうかという気分になるわけです。

寄せ鍋はうまく作れば美味しいものですが、料理としては単品の食材を味わうほうが私は楽しいと思っています。そして、鍋に入れることで何よりもうまくなるものといえば、あんこう。ふぐはいつでも味わえるものではないし、すっぽんも好きですが、季節の便りといえば、あんこうでしょう。

茨城が名物といわれ、現地では鮟肝を出汁に溶かした「ドブ鍋」スタイルが一般的ですが、東京ではなかなか美味しい店にはお目にかかれません。かつて浅草の「田佐久」を贔屓にしていましたが、閉店となってずいぶん経ちます。

味噌味は以前、この連載でご紹介した新橋「鮎正」が好きですが、あんこう鍋としては、さらに少数派でしょう。

やはり、すっきりとした醤油味が多数派で、昭和の文壇や劇壇、財界人に愛された銀座「はち巻岡田」や、芸能人が隠れ家として愛用する西麻布「さぶ」が有名ですが、旧知の友人たちとざっかけない気分のときに訪れるとしたら、神保町にある「季節料理ながた」にします。ただし、あんこう鍋(一人前3300円)は二人前からということ、どんな料理もかなりボリュームがあるのでご注意。4〜6人くらいで訪れることをお勧めします。

古本屋やスポーツ用品店の立ち並ぶ街として知られる神保町の一本裏手にあり、入れ込みの座敷のみ。正直にいって接待に向くようなところではありませんが、亭主のこだわりを楽しみに魚好きが各地から訪れます。

なかでもこの時期は、北海道余市のあんこうを使った鍋を目当ての客が多く、訪れたときも客のすべてが鍋を囲んでいました。
とはいっても、鍋の前には刺身を。黒板や短冊にはその日の魚が所狭しと並んでいます。

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rd850_3クエや鬼カサゴ、シマアジといった白身もいいし、面倒だったら美味しいところを盛り合せにしてもらうのが一番かもしれません。この時期の焼物では、生のししゃもがあれば、必ず頼みます。

いずれにせよ、あまり多く頼むと鍋の前にお腹がいっぱいになってしまうので、気を付けてください。あんこう鍋も人数より一人前くらいは少なくてもいいでしょう。

日本酒も入り、いい気分になった頃、女将さんが、すぐにでも食べられる状態に仕上げた鍋とともに登場します。

 

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