【東京 池袋】かぶと: グルメキュレーター 広川道助

2016.12.08

新しい主人になったうなぎの名店「かぶと」
毒舌はないが、料理と真摯に向き合える

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飲食店の世代交代の瞬間に居合わせることが出来るなんてめったにないことです。

その贅沢な体験を先日、することができました。私にとっては決して常連的な店ではないのですが、前主人もいまの主人もある意味、個性的であり、得難い経験でした。

rd850_2その店、池袋「かぶと」はうなぎ専門店です。東武百貨店のある西口から歩くこと10分ほど。間口は3間ほどですが、奥に長く、カウンターとテーブル席があります。カウンターでうなぎというのも珍しいですが、ここはカウンターが特等席。前主人の口上を聞きながら、目の前で焼かれたうなぎをすぐに楽しむのが、かぶとの魅力でした。

ご存知のように、うなぎは関東と関西では料理の仕方がまるで違い、関東は腹から裂き、蒸してから焼くのに対し、関西は背開きでそのまま焼く「地焼き」スタイルです。この店はなによりも「地焼き」を愛し、東京でも数少ない関西スタイルの店なのです。

前のご主人はまず、両方のスタイルで調理した頭(エリ)を出して、「蒸したほうがうまいという客はその場で帰ってもらうよ」と口上を垂れます。まあ、ここに来る客はほとんど予習済みなのでひっからないし、お約束の一言というわけですが。

ここから始まり、地焼きの各部位、白焼き、蒲焼きが順番に出され、天然が入荷したときは養殖との食べ比べも出来るという、かなりニッチな店なのですが、なにより主人の毒舌が名物で、「これ食べてまずいと思ったやつは帰っていいよ」「その顔で料理がわかるのかい」といったオンステージを楽しめるマゾ的な客が集い、長年食べログのうなぎ部門で一位を独走。予約も半年以上取れないという人気店になっていました。

 

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