「本日もいい塩梅」 vol.33

ローストビーフをおいしく食べる塩:ソルトコーディネーター 青山志穂

2016.12.23

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ローストビーフに合う塩の選び方

街はすっかりクリスマス模様一色。クリスマスはおうちでパーティーをする予定の方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、作って簡単、食べておいしいローストビーフの作り方と、それに合う塩をご紹介します。下味の塩にこだわることで、肉本来のうまみが全面に出た、さっぱりしているけれどうまみの濃いローストビーフができあがります。

まず、作り方です。炊飯器と耐熱性のバッグを使って疑似真空調理をすると、ととても簡単においしくできます。

(1) 牛もも肉ブロックに、重量の1%程度の塩と胡椒をすりこむ

(2) フライパンに油を熱し、強火で肉の表面を焼きつける

(3) (2)の粗熱が取れたらラップでぴったりとくるみ、耐熱性の保存バッグに入れて、できるだけ空気を抜く

(4) 炊飯器に(3)を入れ、そこに沸騰したお湯を注ぎ、蓋を閉め、保温モードで40分間放置する

(5) 冷めたら切り分ける

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鉄分豊富で赤身肉との相性バッチリ「屋我地島の塩」

料理と塩の相性を合わせるには、両者の共通点を探してあげることがポイント。ローストビーフに使うような赤身肉には鉄分が多く含まれているので、塩にも鉄分が含まれているものを使うことで、相乗効果でうまみを強く感じます。

「屋我地島の塩」は、沖縄県の屋我地島という本島と橋で繋がった島で作られている海水塩で、ネット式塩田で海水を濃縮したのち、平釜で煮詰めて結晶させています。本来透明なはずの塩は、なぜか薄茶色に。これは、現代の製塩では珍しい鉄製の釜で海水を煮詰めるから。海水中の鉄イオンと鉄釜の鉄イオンが熱によって化学反応を起こすことで、結晶が色づきます。この鉄分が味にも影響し、鉄由来の酸味をはっきりと感じることができるため、赤身の肉との相性が良いのです。しょっぱさも比較的強いので、できあがりはさっぱりとした味わいになります。

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江戸時代からの名塩が復活!「のだ塩」

岩手県の野田湾沿岸に位置する野田村では、江戸時代から盛んに塩が生産され、牛の背に乗せて内陸へ運ばれて、穀物と交換されていました。この地方では牛のことを「ベコ」と呼ぶため、その道は「野田ベコの道」とも呼ばれています。津波によって甚大な被害を受けたため、しばらく塩づくりが中断されていましたが、消費者や周囲からの復活を望む声に応えて、平成24年2月に再建され、ふたたび塩づくりがスタートしました。野田湾で自然ろ過された地下海水を原料に、薪で熱した鉄鍋で、海水を足しながら4日間かけてじっくり煮詰めて仕上げたこの塩は、ほどよいしょっぱさと鉄由来の酸味、そして最後においしい苦味が口の中に広がり、余韻が長く続きます。完全に赤身の部分ではなく、少しサシが入ったような部位を使う際におすすめです。

 

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