「食の王道」vol.60

【東京 本郷】江戸前晋作: グルメキュレーター 広川道助

2017.01.05

2017年は「天ぷら新世紀」になりそう
なかでも本郷「江戸前晋作」に注目

rd1700_12016年の飲食業界を一言でいえば、肉の年だったと思います。前年から続いた熟成肉、赤身肉の流行はそのまま続き、ジビエやアメリカンステーキレストラン、ハンバーガーなど、肉関係の話題が途切れることなく出てきたように感じます。

では今年はどうなるか。個人的な思い入れを込めていえば、「天ぷら新世紀」になりそうな気がしています。

この一年、日本料理の中でも一番保守的だった天ぷらの世界にさざまな動きが出てきました。

天ぷらというと「江戸前料理」が代名詞ですが、名古屋「くすのき」、静岡「成生」という地方で独創的な料理を展開する天ぷら店に注目が集まるとともに、東京でも麻布十番「たきや」や神楽坂「あら井」、四谷三丁目の「天ぷらDining ITOI」など、新しいことに挑戦する若手の天ぷら職人が続々とあらわれたからです。

そのなかでも、私個人の一番の収穫は、2016年10月に本郷三丁目に開店した「江戸前晋作」です。

rd1700_2ひょんなことがきっかけで、オープン直後にこの店の名前を知ったのですが、うかがえたのは一か月ほど経ってからのことでした。

江戸前晋作とはたいそうな名前だと思っていたのですが、主人の名前が西村晋作さんで、天ぷら店であることを意図的に隠したのではなく、近くにがあるため、ビルオーナーに天ぷらと名乗らないことを条件に借りたんだそうです。

カウンター10席ほどを若い夫婦おふたりで切り盛りしています。主人は若いころは音楽や芸術を学んでいて、20代になってから料理の世界に入ったとか。しかも天ぷらに関してはほとんど独学なんだそうですが、オーソドックスないい天ぷらを揚げます。

 

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