「いますぐ飲みたい日本ワイン」vol. 56

h3 IKKAKU 2015:ワインキュレーター 柳 忠之

2017.01.04

h3 IKKAKU

無ろ過のにごりワインに特化する

滋賀県にヒトミワイナリーという、1991年創業のワイナリーがあります。キャッチフレーズは”にごりワインの”ヒトミワイナリー。

にごりワインというのは、読んで字のごとく濁ったワインのことです。ワインは外観に濁りが見えるだけでクレームがつくことも珍しくありません。ですから、たいていのワインは清澄とろ過作業を行い、ワインを透明感のある状態にしてから瓶詰め、出荷されます。

しかしその一方、清澄やろ過はワインの美味しい成分までそぎ落としてしまうこともあり得るわけです。

ヒトミワイナリーはワインの見た目は二の次、風味そのものにこだわり、にごりワインに特化するという大英断を下しました。

このワイナリーも最初からにごりワインを造っていたわけではなく、ごく当たり前のように清澄、ろ過をしていたそうです。ところがある年、ワイナリーのツアー客にタンクからすくったばかりの濁ったワインを飲んでもらったところ、これが大好評。これを契機ににごりワインの醸造が始まりました。

たまにはこんな変り種でお遊びを

さて、今回ご紹介のワインはヒトミワイナリーの「h3 IKKAKU イッカク」。もちろんにごりワインです。マスカット・ベイリーAをメインにキャンベルス(キャンベル・アーリーとも呼ばれる北米系の品種です)がブレンドされています。

少ないとはいえキャンベルスがブレンドされていますし、マスカット・ベイリーAは片親が北米系の血筋ですから、ウエルチのグレープジュースを思わせる、華やかなフレーバーが支配的です。

まだワインに炭酸ガスが残っているうちに、清澄、ろ過をせずに瓶詰めしているため、口の中でプチプチと微発泡。この気泡がフレッシュさを増幅させます。香りの印象も相まって、生のブドウをそのまま口の中に含んだような、瑞々しい味わい。赤ワインなので濁りはあまり気になりませんね。

もっとも、無ろ過ということは酵母も残っていますので注意が必要。高い温度の元に置いておくと酵母が活動を始めて再発酵を引き起こすこともあります。この手のワインはとくに保管温度に気を使いたいところです。

王道からは外れていますが、造り手のこだわりが感じられるにごりワイン。たまにはこういうタイプのワインでお遊びも悪くありません。

1,836円(税込み・現在2016年を販売中)/ヒトミワイナリー 
http://www.nigoriwine.jp

 

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/

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