明野ミサワワイナリー訪問:ワインキュレーター 柳 忠之

2017.01.19

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ワイン界の重鎮たちと一緒にミサワワイナリーを訪問してまいりました。

ミサワワイナリーはグレイスワインこと勝沼の中央葡萄酒が、山梨県北杜市の明野町に所有する自社ブドウ園「三澤農場」に隣接する醸造所です。

今日、12ヘクタールの規模に広がった三澤農場は、2002年に最初の植え付けが行われ、その植樹祭には私も参加しました。この植樹祭には、ブレーク直前の平井堅が登場しその美声を披露。あれからもう15年ですか、早いですね……(遠い目)。

ところで、韮崎駅からタクシーでミサワワイナリーに向かっていると、運転手さんが「あれ? ここにあったミサワワイナリーの看板がなくなってるな」と呟きました。じつはミサワワイナリー、今年から一般への公開を止めるそうで、奇しくも私たちが最後の訪問者に(ぜんぜん一般ではありませんけど)。今後、お客様の受け入れは、勝沼のグレイスワインに集約するそうです。

(1)20170119まずはカーヴ(熟成庫)へ。コンクリート打ちっ放しの素敵なカーヴは、2年前の暮れに落成したばかり。そこでまだ樽の中で寝かされている、2015年産の赤ワインを試飲させていただきました。案内してくださったのはもちろん、中央葡萄酒の栽培醸造責任者、三澤彩奈さんです。

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カベルネ・ソーヴィニヨンはきれいな酸味と緻密なタンニン。ストラクチャーはしっかり感じられますが、タンニンのキメが細かいため渋みをほとんど感じません。よく躾けられたタンニンというべきでしょうか。カベルネ・フランはフローラルでフルーツの香りもきれいに出ています。果実味の充実度も高く、ポテンシャルが高そう。プティ・ヴェルドはグラスに注がれた瞬間、紫を帯びた濃い色調に目を丸くしました。カベルネ・ソーヴィニヨンと比べると少々気品に欠けるタンニンですが、それでも角は丸まり荒々しさは感じられません。スパイシーなフレーバーはこの品種ならではの特徴です。

カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランは単一品種で瓶詰めですが、プティ・ヴェルドはおそらく他の品種とブレンドされるでしょう。リリースは来年。待ちきれませんね。

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その後は瓶詰め済みの2015年の甲州を試飲。県内各地のブドウを用いた「グレイス グリド甲州」に始まり、甲州市のブドウのみの「グレイス甲州」、それからふたつの単一区画もの「グレイス甲州菱山畑」と「甲州鳥居平畑プレイベート・リザーヴ」、そして最後がここ、明野の三澤農場で垣根仕立てのブドウから造られた「キュヴェ三澤明野甲州」です。

彩奈さんの造る甲州はどれもピュアで透明感があり、キリッとしてタイト感のある辛口。とはいえ、それぞれにテロワール由来の個性が感じられます。

とても興味深かったのが明野甲州。この中でオーク樽で発酵させたのは鳥居平だけで、ほかはすべてステンレスタンクによる醸造ですが、トップノーズに上質のオークを使ったようなスモーキーさが感じられます。例えるなら、ドメーヌ・ルフレーヴのピュリニー・モンラッシェ。「外国の方に一番気に入ってもらえるのが明野甲州なんですよ」と彩奈さん。私個人はストレートで緊張感のある菱山畑が大好きですが……。

2016年はカベルネ・フランの出来に満足できず、全量ロゼにするという苦渋の決断をした彩奈さん。今年はいったいどんな年になるのでしょう?

中央葡萄酒 グレイスワイン http://www.grace-wine.com/

 

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
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