【東京 日本堤】丸千葉: グルメキュレーター 広川道助

2017.02.09

下町のお食事処「丸千葉」で、
酒肴をつまみつつ、〆はかつ丼

(1)rd1700_20170209ここ数年、昭和な居酒屋を訪ね歩く人々が多くなっているそうです。

そういう店はだいたい下町の駅からちょっと離れたところに佇んでおり、常連の様子をうかがい、その店の作法に合わせながら飲むというのが、一見のための正しい居酒屋の使い方だと私は教わってきました。

ただ、最近は傍若無人にふるまう新参者が多く、古くからの客とトラブルになることも少なくありません。それが下町の居酒屋なら、なお一層、そうしたことに気をつけなくてはなりません。

しかし、この店「丸千葉」は居酒屋でありながら、オープンなスタンスを取っていて、常連から一見まで、分け隔てなく扱ってくれます。

場所は南千住からも浅草からも中途半端に距離のある、台東区日本堤。下町の地理に詳しい方なら「ふふーん」とうなずく、かつては山谷と呼ばれたドヤ街だったところのはずれ。もう少し歩くと吉原大門(おおもん)があるという、下町の象徴のような場所に店はあります。

(2)rd1700_20170209その日暮らしの労働者が多い町なので、店は14時にオープンしますが、週末ともなるとその時間にはすでに行列が出来ています。しかも並んでいるのは、遠くからわざわざ丸千葉を目指して訪れてきた客ばかり。

その秘密はメニューの豊富さにあります。のれんに「お食事処」と書いてあるように、ここは居酒屋でもあり食堂でもあるのです。

(3)rd1700_20170209だから、刺身もあればハンバーグやメンチに炒飯もかつ丼もあるというわけ。こうした使い勝手の良さで、昔は周囲の労働者のオアシスだったのだろうと推察しますが、いまでは下町居酒屋巡りの観光客に評判の店になってしまったようです。

のれんが掲げられると同時に、決して狭くはない店内は満席。馬蹄型のカウンターとテーブル席でざっと30席くらいはあるのに、事前の予約客でほとんどいっぱいなのです。みな、壁に貼られた短冊を眺めながら注文を決めています。

 

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