グルメ

「いますぐ飲みたい日本ワイン」vol.61

高畠 L’OGRE BLEU 青おに 2013:ワインキュレーター 柳 忠之

2017.02.09

rd1000_L'OGRE BLEU

童話「泣いた赤おに」とNHKドラマ「私の青おに」

「泣いた赤おに」という童話を覚えてますか?

人間と友達になりたい赤おに。
しかし、おには悪者と思い込んでいる人間たちは、赤おにの姿を見るなり逃げ出してしまいます。

そこで親友の青おにが赤おにの願いを叶えてあげようと一計を案じました。
青おにが村で悪さをしているところに赤おにが現れ、青おにをやっつければ、人間たちは赤おにを仲間と認めてくれるだろうというのです。

うまく事は運び、赤おには村人たちと友達になれました。

ところがそれ以降、青おにの姿がぱったり見えなくなり、気になった赤おにが青おにの家を訪ねると、家の中はもぬけの殻で、戸に張り紙がありました。

「赤おにくん、君がぼくの友達だと村人に知られたら、また嫌われてしまうだろう。だからぼくは旅に出ます」。

赤おにはその張り紙を何度も読み直し、涙を流しました。

 

この物語を書いたのは、山形県屋台村(現高畠町)の作家、浜田広介。高畠町には「浜田広介記念館」もあるそうです。

昨年はNHKの山形の地域ドラマとして「私の青おに」が放映されました。ヒロインの親友で青おにに相当するサブヒロインは、実家のブドウ農園を継ぎ、ワイン造りをしています。その役作りには地元の高畠ワイナリーと醸造責任者の川邊久之さんが協力されたとか。

アタックはまろやか、アフターはパワフル

そして、その高畠ワイナリーからリリースされた赤ワインが、その名も「L’OGRE BLEU」。日本語で「青おに」なんですね。

2013年によいブドウのみを集め、小ロットでワインにする「マジェスティック」というプロジェクトがスタートし、この青おにワインが出来上がりました。

2013年は日照時間が長く、糖度の高いブドウが収穫できた秀逸年。ふたつの契約農家のメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンを小さなタンクで発酵。ポンプで液循環させるのではなく、優しく人の手で櫂突きし抽出しました。その後は、メーカーの異なるフレンチオーク樽で熟成。最終的なブレンド比率はメルロー80パーセント、カベルネ・ソーヴィニヨン20パーセントとなっています。

グラスにワインを注ぐと、ほんのりとエッジにオレンジの見えるルビー色。香りは砂糖漬けのチェリーやカシスのリキュール。オーク樽がもたらすカカオのような香ばしいフレーバーも感じられます。口に含むと、アタックはソフトで丸みがあり、舌触りも滑らかですが、口の中でワインをころがしていくうちにじわじわとキメの細かなタンニンが広がってゆき、なかなかしっかりしたストラクチャー。山形らしいピュアな酸味も印象的。今すでに心地よく楽しめますが、もう数年寝かせて、タンニンがこなれるのを待ってもよいでしょう。

じつはこのワイン、節分に合わせてご紹介したかったのですが(笑)、手配に手間取り、今日になってのご紹介となってしまいました。すき焼きや山形名物の芋煮と合わせて楽しみたい赤ワインです。

3500円(税込)/高畠ワイナリー https://www.takahata-winery.jp/

 

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/

 

KEY WORD

Area