赤坂 ひさ野:「食の王道」vol.02 広川道助

2015.11.12

rd850_ウニ卵かけごはん
メニューには刺身もエビチリもコロッケもパフェもあり
すべてが美味いという「大人の食の遊園地」

年を取り、それなりに社会的に評価されてくると、誰でもわがままになるものです。ひさしぶりに古い友人たちと会っても、「和食がいい、中華がいい、もっとカジュアルなほうがいい」と揉めて収拾がつかなくなることだってけっこうあるでしょう。かといって、居酒屋で済ますのは気が進まない。

そんなときにドンピシャの店が東京にはあります。いや、東京にしか存在しえないといえるでしょう。メニューには、刺身や焼き魚からエビチリ、コロッケ、ビーフカツ、はたまたパフェまであって、どれもがピカイチというとんでもない店なのです。

「そんなのファミレスと一緒じゃないか」と思われるかもしれませんが、質の高い材料を常に幅広く確保し、ハイレベルの調理で提供する技術は、当たり前ですがセントラルキッチンで「レンジでチン」のファミレスとはまったく違います。

それは、旦那衆がアフター5の玄人女性と同伴前のカウンターで好き勝手な料理を頼み、それに料理人が応えるという花街の文化が続いてきた繁華街でしか成立しえない料理店の形式なのです。

店は赤坂、かつて一世を風靡したキャバレー「ミカド」のすぐ近くのビルにあります。地下の扉を開けると右手にカウンター、そしてテーブル席、掘りごたつ形式の個室と続きますから、どんなシチュエーションにも対応できます。料理長の奥野慶造さんは割烹やステーキハウスを経て、知る人ぞ知る赤坂の多国籍料理店で修業。フレンチや中華など単一ジャンルの料理に食べ飽きた食いしん坊たちを大いに魅了し、2012年末に独立したのです。一国一城の主になってからも、奥野さんの腕にはさらに磨きがかかり、繊細さも増した料理になりました。

春の山菜、夏のハモ、秋の松茸など、走りの食材をいち早く取り揃え、メニューにはもちろん美味しそうな料理が書かれているけれど、たとえば「松茸はフライとすき焼きで食べたいなあ」なんて呟けば、待ってましたとばかり、柔軟に対応してくれます。

日本料理派なら、まずは季節の刺身や生カキを楽しみつつ、キンキの煮つけ、天ぷら、ウニ卵かけごはんと進むのもいいし、洋食好きなら牛肉のたたきからメンチカツ、エスカルゴ、マカロニグラタンはどうでしょう。中華ファンには麻婆豆腐や酢豚、春雨炒め、担担麺もあるし、居酒屋風にポテサラ、牡蠣フライ、コロッケ、ブリ大根、カレーライスと頼んでも、どれも満足できる味なのです。

しかも食後には、ストロベリーパフェやシュークリーム、アップルパイまであるので、女性陣にも喜ばれること、間違いなし。カウンターの奥でしっぽり、料理長に相談しながら酒を酌み交わすのもいい。

アルコールの揃えも万全で、どなたをお連れしても喜んでもらえる「大人の食の遊園地」なのです。

rd850_カキフライ
カキフライ 800円

rd850_海老とマカロニグラタン
マカロニグラタン 800円

rd850_ぶり大根
ぶり大根 800円

rd850_カレーライス
カレーライス 500円

冒頭の写真はウニたまごかけごはん 1800円

 

rd850_FullSizeRender
「赤坂 ひさ野」
住所:東京都港区赤坂2丁目14-8山口建設ビル B1F
電話:03-6441-2523
営業:17:00〜25:00(24:00LO) 
定休日:日曜・祝日
席数:34

 

文 広川道助(ひろかわ どうすけ)

 

《プロフィール》
広川道助
学者の家系に育つ。西欧で一時期を過ごし、早い時期から食の世界を志す。20代はフレンチに凝ったが、その後、日本料理の深遠さに目覚め、近年は和食全般を系統だてて食することが一番の楽しみ。

 

【広川道助の〈食の王道〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/dousuke-hirokawa/