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「本日もいい塩梅」 vol.42

製塩所訪問記~高知県その5・天日塩 いごてつ~:ソルトコーディネーター 青山志穂

2017.02.24

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運命を変えたのは、ある日の酒の席

高知県には何回も訪れていて、この塩の存在も知っていたのですが、なかなかお伺いする機会がなく数年が経過していました。念願叶ってやっとお伺いできた取材当日、「こんにちはー!」とご挨拶すると、迎えてくれたのは仲の良さそうなご夫婦でした。

「いらっしゃい、塩が見たいなんて変わってるね」と言いながら、製塩所を案内してくれたのは、ご主人の浜田哲男さん。塩づくりを本格的に始めたきっかけは、平成16年。当時、趣味で時々塩づくりに没頭していた浜田さん。とりあえず海水を釜で煮詰めて作っていたのですが、どうにもうまくいかず、試食してくれた喫茶店のママにも「まずい」と言われてしまったそう。

いったんは塩作りの手を止めたものの、転機が訪れたのは、ある日「土佐のあまみ」の小島さんと酒を酌み交わしていた時のことです。小島さんの話を聞きながら、ふと「俺もまた塩作ってみようかなあ」とつぶやいたところ、小島さんが「じゃあ教えてあげるよ」と応じ、そこから約1か月ほど塩づくりの修行をさせてもらい、浜田さんの塩づくりが再スタートしたそうです。

建築業に従事していた当時54歳の浜田さんは、2~3年かけて自ら施設を作り、平成18年に本格的に完全天日塩作りをスタートしました。

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「ええ加減なことをしたらいかん」

「いごてつの天日塩」のパッケージには、ほかにはない特徴があります。それは、袋の中にぴっちりと一直線に塩が入っていること。なんと、塩を袋に入れたあとに、わざわざ脱気をした上に、1つ1つ手作業で袋の中の塩を一直線に揃えているそう。

実際に目の前でやってもらいましたが、手間がかかる上に、なかなか力のいる仕事です。どうしてそこまでするのか尋ねると、「人にモノを売る以上は、なるべくキレイにして買ってもらうのが当たり前。買ってくれる人の気持ちを考えたら、いい加減なことをしてたらいかん」とのこと。さすが、「いごっそう(土佐弁で「頑固で気骨のある男」の意味)」と呼ばれるほどの人物です。

「ほかに商品は展開しないんですか?」と聞いたところ、「夫婦2人だけでやってるから、1つのことをやる。ほかには手をださん」と、やはりいごっそうな答えが返ってきました。パッケージを作ってくれた世界的に著名なイラストレーター、デハラノリユキさんも、きっとこんな人柄に惚れ込んでいるに違いありません。

 

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