安心院ワイン シャルドネ イモリ谷2014:ワインキュレーター 柳 忠之

2017.02.15

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日本ワインコンクールの審査で気になっていたあのワイン

今から10年近く前のことですが、現在の日本ワインコンクール、当時の名前で国産ワインコンクールの審査員を3年間務めたことがあります。

そのコンクールで常連のように上位入賞し、いつも気になっていたワインが「安心院葡萄酒工房」の「シャルドネ・イモリ谷」。

審査はチェアマンと呼ばれる座長を中心に、4、5名がグループとなって行われるのですが、私も欧州系白品種のグループにいた年があるので、間違いなくこのワインを試飲しているはずです。

ただし、審査は完全ブラインド。つまり、銘柄を伏せた状態でテイスティングするので、結果が発表されるまで、いや、結果が発表されても、どのワインが何であったのか皆目わからないんですね。

「安心院」と書いて「あじむ」。安心院町は大分県の北部、宇佐市にあります。てっきり新興のブドウ産地とばかり思っていましたが、いわゆる国策によって60年代からブドウが栽培されていたとか。

現在のワイナリーは2001年に設立され、その親会社は焼酎の「いいちこ」で有名な三和酒類です。

春の食べ物に合いそうな、繊細さとほろ苦味

さて、シャルドネ・イモリ谷ですが、ブドウ畑のある谷が、イモリが手足を伸ばした形に似ていることからこの名前に。醸造は小樽発酵、小樽熟成で、澱とともに9ヶ月間寝かされています。

九州のシャルドネというと、熊本のものも宮崎のものもトロピカルフルーツの香りが華やかで、リッチなスタイルというイメージでしたが、意外や意外、このイモリ谷はそれらとはちょっと趣が異なります。

香りはむしろ青リンゴや洋梨。それにオークからと思われるナッツやバニラの香りがほんのり漂います。口に含むと繊細なタッチ。あまり粘性はなく、サラッとした舌触り。果実味と酸味は調和していますが、アフターに感じられるグレープフルーツの薄皮のようなほろ苦さが気になる方がいるかもしれません。

もっともこのほろ苦さも食べ物と合わせればまったく気にならず、全体的に一歩引いた奥ゆかしいスタイルのシャルドネなので、食中酒として飽きずに楽しめるはずです。

合わせるとすれば何か苦味を伴う食べ物、菜の花やたらの芽、ウド、ふきのとうなどを使ったお料理がよろしいかと。鮎の塩焼きにも合いそうです。春が来るのが待ち遠しいですね。

 3,142円(税込み・現在は2015年ヴィンテージ)/安心院葡萄酒工房 
http://www.ajimu-winery.co.jp

 

【柳忠之の〈いますぐ飲みたい日本ワイン〉】一覧記事はこちら
http://www.premium-j.jp/tadayuki-yanagi/