グルメ

「食の王道」vol.67

【東京 神宮前】傅: グルメキュレーター 広川道助

2017.02.23

神保町から神宮前に移転して、
「傳」がやりたいことが見えてきました

1 copy-min神保町にあった日本料理「傳」の魅力を私は長い間、理解していませんでした。

「デンタッキーフライドチキン」という名前で鶏の手羽に詰め物をして揚げたものが出てきたり、フォアグラやジャムが詰まった最中が出されたりと、一皿一皿の料理は美味しかったし、サプライズの面白さはわかるのですが、料理全体としてなにをしたいのかがわからず、一度訪れて以降、ファーストチョイスの候補から長らく外れていました。

ところが古くからの友人に誘われ、うかがってようやく、この店は料理だけを近視眼的に見るのではなく、滞在する体験を楽しむところだということがわかったのです。主人の長谷川在佑さんを始めスタッフの暖かなサービスを受け、トータルの面白さが見えてきたからです。

その傳が昨年末に外苑前に移転しました。長谷川さんが敬愛するフランス料理「ル・ゴロア」が北海道に移転するにあたり、その場所を譲り受けたのだと聞きました。

この数年、人気の日本料理店が移転したときは、大体において本格的な日本建築の店にし、和のテイストを前面に押し出すのが一般的だったと思います。

ところが傳はそれとは違ったしつらえの店でした。全体を見れば和のテイストですが、以前よりかなりポップで、カジュアルな感じです。

なにより驚いたのはカウンターが一切なく、長細い大きなテーブルがフロアの中心に置かれていることです。訪れた複数組の客はみな、同じテーブルを囲んで食べるというのが、新しい傳の特徴なのです。

2 copy-min3 copy-min

 

《次ページ》

KEY WORD

Area