「お米が主役」 vol.67

「福島屋」のおむすび:お米キュレーター 柏木智帆

2017.02.28

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1日800個以上を売り上げるおむすび

首都圏5店舗を展開する食品スーパーマーケット「福島屋」では、おむすびが大人気。惣菜売り場では、店頭におむすびを並べるそばから飛ぶように売れていきます。多い日は、なんと800〜900個を売り上げるそうです。

IMG_1987 copy-min写真(上)/ 福島屋は「テイスティング・マーケット」

「惣菜売り場は、テイスティング・マーケットです」と話すのは、福島屋会長の福島徹さん。惣菜売り場で使っている食材や調味料は、すべて福島屋店内で販売しているものです。
おむすびのお米や塩は、店頭販売しているものの中から定期的に変わります。訪れた日は、青森県の福士英雄さんによる特別栽培米「つがるロマン」と、香川県の海水に海藻を混ぜて天日乾燥させた瀬戸内天然塩の藻塩。有明海苔で包んで提供しています。

具材は、塩むすび、南高梅、山漬け鮭、焼きタラコの計4種。すべて無添加・無着色で、糖分や油脂などを使っていません。いずれもシンプルにお米を味わえる具材ばかりです。

南高梅は、完熟した南高梅と塩だけを使ってつくった昔ながらのシンプルなもの。山漬け鮭は、鮭に塩をまぶして積み上げてゆき、水分が出たら返しを行うという手間のかかる伝統製法でつくられたもの。焼きタラコは、着色料を使っていない白色のもの。ときどき並ぶおかかには、高知県の削り節屋から仕入れた脂臭さのない上質な削り節を使っています。

おむすびの大きさは1個120〜130グラムでコンビニおむすびよりも大きめ。
おむすびをつくっていた女性店員につくり方のコツを聞くと「米粒が口の中でほろほろとほぐれるように、むすぶのは3回程度。海苔を巻かないと陳列したときに崩れてしまいそうです」と教えてくれました。

たしかに、海苔を巻いたおむすびは立てて並べていますが、海苔を巻かない塩むすびだけは寝かせて並べています。「研究を重ねてごはんだけでなく、空気を含ませてむすぶようにしています」と福島さん。このふうわり感も、人気の秘密です。

つがるロマンは、あっさりとして柔らかめに炊きあがるお米ですが、ふうわりとむすんでいるため、粒感が残っていました。

DSC_0279 copy-min写真(上)/ つくるそばから売れていく

惣菜で食材を味わえる「テイスティング・マーケット」

福島屋のオープンは、午前8時。出勤時の人や近隣住民などが購入していきます。午前中だけで、10〜20キロのごはんがなくなってしまうそうです。

同店が入居するビル「アークヒルズサウスタワー」で働く人たちは、約5000人。そのため、2014年1月オープンからしばらくの間は、土日曜日になると静かだったそうですが、3年経った現在では曜日に関係なく近隣住民などのお客が訪れるようになりました。福島屋はチラシ広告などを一切行いません。ゆっくりと口コミで評判が広がるため、オープンから黒字経営に転換するまでに、1年かかったそうです。

DSC_0312 copy-min写真(上)/ おむすびのほか、弁当や惣菜など、さまざまな“テイスティング”が楽しめる

福島屋は創業以来40年以上にわたって紆余曲折がありながらも黒字経営を続けてきました。おむすびをはじめ、店内で扱う食材を使った惣菜を販売するテイスティング・マーケットのほか、季節に合わせた料理講座の開催、従業員同士で売り場の写真を見ながらレイアウトや陳列などについて意見を出し合う「グラフィック・ワークショップ・スタイル」といった3本柱の運営で、お客から絶大な支持を得るスーパーマーケットを展開しています。

そして、何よりも福島屋が支持される理由は、「おいしさ」と「安心安全」。
たとえば、どの野菜にも自社で計測した「硝酸体窒素(肥料の与え過ぎによって野菜に蓄積され、人体に悪影響を与える可能性があると言われている物質)」の数値を表示するなど、食品に対する責任感やこだわりは並大抵ではありません。

とは言え、「うちは自然食品店や健康食品店ではありません」と福島会長。青果コーナーには、慣行栽培から有機JAS、自然栽培の農産物も置かれています。福島屋では、生活者目線で良いものを適正価格で販売するだけでなく、幅広い選択肢も提供しているのです。

実は、おむすびに使われている南高梅は、福島屋が自社で製造した商品。本当に良いものを求め続けている福島屋のオリジナル商品は、OEMも含め300アイテム近くにのぼります。

 

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