“ナガイスタイル”で世界を目指す、第六代の挑戦

2015.11.16

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レストランで、ワインリストの隣に日本酒リストをのせたい

“ワイン市場にいかに日本酒市場が入り込んでいくか”、これは日本酒業界が抱える高い壁ともいえるテーマかもしれません。それでも、この壁をなんとか越えようと、実際に行動を起こしている蔵元もいくつかあり、その代表格ともいえるのが群馬県・川場村の永井酒造。

1886年創業の老舗の伝統を守りつつも、第六代である永井社長は、既成概念を打ち破る日本酒づくりに取り組んでいます。ワインと対等なポジションにいくためのキーワードは、“食中酒”にあると永井社長は話します。

「世界を見た時に、日本酒メーカーは勝手に仲間だと思っています。競合して食い合うのではなく、まったく違うステージで、食のタイミングに合わせて米の可能性がこんなに広がるんだ、ということを伝えていきたい。スパークリングワインに対してスパークリング清酒、白ワインに対して食中酒、赤ワインに対してビンテージ、デザートワインに対してデザート清酒、というように。ワインリストの隣に日本酒リストが並ぶのが理想です。ソムリエが料理のタイミングで日本酒にするかワインにするか、比較しながら客に提案ができますよね」

その言葉を体現する日本酒のラインナップが、永井酒造ブランドの頂点でもある「ナガイスタイル」。20年もの時間をかけ、このブランドにたどり着きました。

「ナガイスタイル」では、スパークリング、食中酒、ビンテージ、デザート酒と4タイプに分け、飲み方や料理とのペアリングを含めたシチュエーションを提案。ビンテージにおいては、10年前の2004年から戦略的に熟成させてきました。研究を重ねてデザート酒が完成し、昨年から「ナガイスタイル」をもってある意味スタートラインに立てた、という想いが永井社長にはあります。

実際に料理とのマリアージュもすでにレストラン等でおこなわれており、それも他ジャンルに及ぶのが、これまでの日本酒業界にはない新しい試みです。

「懐石はもちろん、フレンチ、イタリアン、中華など、世界のコース料理に、どのタイミングでどういう日本酒を出していくか、タイプ別に分けていくことができます。日本酒の可能性はみなさんが思っているよりもよっぽど広いんですよ」

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ライバルでもあるワインが、重要なヒントに

永井社長は昨年、商業的なワイン造りが特徴のナパバレーにあるワイナリーを20蔵ほど巡り、永井酒造として世界に向けてやらなくてはならないビジョンが明確に。トップ水準のものから世界に売っていき、世界のトップシェフと会話ができるようにしたいとのこと。海外への展開は「ナガイスタイル」というブランディングに変えていき、米の文化を伝えたいと意気込んでいます。

ターゲットは、ミシュラン2つ星以上のかなりアッパークラスとなるので、現在23カ国に輸出していますが、ナガイスタイルをまず持っていくのは、NY、パリ、ロンドンが中心。その想いを胸に、永井社長は今年10月25日からパリ、ロンドンに初上陸しますが、すでにプレスリリースの段階でパリのリッツカールトンの総料理長がフレンチで「ナガイスタイル」使いたいと反応してくれているなど、嬉しい評価が表れています。欧州で一番大きなイベント、パリで開催される“サロン・ド・サケ”にも初出店しますが、ナガイスタイルの概念、考え方、哲学を伝えるとともに、そこで得た反応を落とし込み、次の手立てを考えたい。

そしてアメリカも、すでにロサンゼルスには拠点があるので、これから時間はかかるかもしれませんが、NYにも広げて行きたいと考えています。「Nagai Style」がペアリングの定番としてオーダーされる日を目指し、永井社長の奮闘は続きます。

 

TextYuki Aoi